第十四話「新たな脅威」

 Side とある自衛官


『アジア連の連中が飲み込まれていく――』


 最初は絶望だった。

 化け物の群れに飲み込まれていくアジア連。

 あの世紀末世界でも見た光景だ。


 自分達もあの頃とは装備も違うとはいえ、恐怖してしまう。

 本当に大丈夫なのかと。

 その懸念は当たっていた。

 

(このままじゃ数に押されて――)


 アジア連の連中と同じ末路を辿ってしまう。

 そう思った矢先だった。


 マジックメイルやAliceの少女の参戦により、劇的に戦況が有利に傾いていく。

 

 この状況に喜びよりも驚愕が勝る。


 だがボサッとしているワケにもいかない。

 自分達は自衛官であり、そしてすぐ後ろには守るべき世界があるのだ。

 

『彼達を援護しろ!!』


『りょ、了解!!』


『今のウチに態勢を立て直せ!!』


 と、士気が戻っていく。  





 Side 緋田 キンジ


 嘗て一緒に戦った人々との共同戦線。


 状況は分からないが、不謹慎だが、心が燃え上がるのを感じた。


 同時に不安もあった。


 また自分達の想像を超えるとんでもない事態が進行しているのではないかと。


『まさかこんな形で再開になるとはな――』


 俺は焼き払うように魔物の群れを攻撃する。


 撃ち漏らした敵をレールガンタンクやレーザーガトリング車両。

 戦闘ヘリや地上や空に展開したパワーローダー部隊が打ち取っていく。


 そうして出来た突破口をフィア達マジックメイル部隊やAliceの少女が次々と敵性生物を打ち取っていく。


 フィア達もAliceの少女達も基本は近接戦闘型だ。

 特にフィアとAliceの御剣 トウカの二人が競い合うように敵を斬り倒している。


『私も負けてられない』


 そこへ更に負けじとリオが加わる。

 

 これならこの場は大丈夫だろうが――などと思っていたら。


『ほう、中々やるではないか――』


『今度はなんだ!?』


 おぞましい男の声が直接脳内に響いた。

 現れたのは巨大な黒いドラゴン? 悪魔? を連想させるロボットだった。

 全高50mぐらいの巨大サイズで剣と盾もそれ相応のサイズだ。


『奴はディアボロス!! この軍勢の長です!!』


『なに!?』


 確かに総大将と言われても恥じない雰囲気と迫力があるが、まさかこのタイミングで現れるとは思わなかった。


『我はここには存在しない。いわば影の状態よ――だが貴様達を屠るには十分だがな』


 そう言うと地上に向けて。

 自衛隊の部隊が展開しているところ目掛けて剣を向けて――


『部隊を散開させろ!!』


『もう遅いわ!!』


『ちぃ!!』


 ディアボロスの剣に最大火力をぶつける。

 それに呼応するようにフィアやAliceの少女もリオも剣に攻撃を集中。

 剣先が逸れて、放たれた雷鳴が自衛隊の部隊が展開した離れた場所に着弾。

 

 瞬間、大きな雷鳴の爆発が起きた。


 危なかった。

 アレが直撃したら自衛隊の連中は全滅していた。


『ならばこれならどうだ!?』


 瞬間、体が重くなり、地面に叩きつけられそうになる。


『重力で潰れるがいい!!』


『重力まで操んのかこの化け物!?』


 このままだとこいつに全滅させられてしまう。

 どうにか方法は――


『なに!?』


 重力の拘束が解けた。

 顔面への一撃。

 助けてくれたのはルーナと高飛のペアだった。


『すいません、出遅れました!!』


 ルーナが謝罪し、


『出遅れたのが功を奏した結果だけどね』

 

 高飛さんが補足する。


『いや、何はともあれ助かった!!』


 でなければ高重力に圧壊して全滅もありえた。


『ほう、ならばこれならどうだ』


 今度はディアボロスの頭上に大きな火の玉が形成される。


『ヤバイ、逃げろ!!』


 その火炎球は地面に着弾し、大爆発を引き起こした。

 

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