外伝・アフターストーリー(*不定期更新)

死神が辿り着いた景色

 Side ???


 =フォボスとの最終決戦時=


(まさかリビルドアーミーの連中と一緒に戦う事になるとはな!!)


 愚痴るように言うが本音では悪くはない気分だ。

 リビルドアーミーだけでなく、懐事情は苦しいだろうに様々な勢力がこの場に応援に駆けつけて来てくれている。


(相手の事は軽く聞いてたが、相棒のステルス能力が効いちゃいないか)


 俺の身に纏うパワーローダーはステルス能力による奇襲戦法、白兵戦が売りだ。

 だが敵のフォボスの軍勢には効果が無いらしい。

 それでも相棒は″アインブラッドタイプ″だ。

 そこらのパワーローダーとは性能が違う。


 俺はこの機体のステルス性能だけに頼り切っちゃいない。

 でなければとっくの昔に死んでいる。

 戦いはそんなに甘くはない。


『た、助かった!!』 


『それにしてもなんだあの機体は!?』


(本当にリビルドアーミーを助ける事になるなんてな――)


 本当に人生とは分からないもんだ。

 ちょっと前まで一緒にリビルドシティに攻め込んで。

 今はまさかリビルドアーミーを助けるために戦うとは。

 

 それどころか世界を救うなんて言う戦いに参加する事になるなんざ思いもしなかった。

 


 =フォボスの決戦後終了直後=


 世界は救われたらしい。

 

 その事よりもどんちゃん騒ぎして報酬はたんまり貰ったことのほうが嬉しかった。


 リビルドアーミーの真の支配者を倒し、フォボスと言うこの世界を影から支配してた黒幕を倒したことよりもだ。


 俺はバカ騒ぎを切り出して死神としての姿に戻った。


 俺が悪党ならこの事態を利用して悪行を働く連中は必ず現れるからだ。


 て言うか間違いなくやる奴は出てくる。


 話によればリビルドアーミーの一部が離反したり、ヴァイパーズの残党が残っていたりするからな。


 そう言う連中も動き出すだろう。



 =フォボスの決戦から少しあと=


 俺はジエイタイ基地やリビルドシティから離れた、なんの特徴もない小さな村のために武器を振るう。

 ジエイタイの連中に感化されたかもしれない。


 敵は野盗の一団の一つ。

 

 フォボスはおろか、リビルドアーミーやヴァイパーズの連中と比べればなんてことはない雑魚だ。


 ステルスモードを利用して一気に近づき、格闘戦で仕留める。

 格闘戦で使用する特注のビームサイズ、俺は死神の大鎌と呼んでいるが――を使い、パワーローダーだろうが武装車両だろうが分け隔てなく次々と切り裂いていく。


 敵は訳も分からず地獄に直行していく。

 戦いが終わるのにそう時間はかからなかった。


(世の中は変わっても変わらないことはあるもんだ)


 この世界では嫌な読みほどよく当たる。


 リビルドアーミーはいままで、悪行の数々を重ねて来たせいで信頼されないがそれでも周辺の治安維持のために奔走しはじめるとは夢にも思わなかった。


 ジエイタイもあれだけの激戦の後だと言うのにこれまでと変わらず接してくれているどころか治安維持のための活動に全力を挙げているようだ。


 だがどうしてもその手が及ばない部分が出来てしまう。


 森の中にあったこの小さな村もその一つだ。


 こう言う場所が幾つもあるに違いない。

 最悪ジエイタイやリビルドアーミーの手も借りないといけないかも知れないな。


「どうお礼を言えばいいのやら――」


 村長に礼を言われる。


「取り合えず金目になりそうなもんはこっちで回収するわ。それと成功報酬で衣食住の手配をよろしく」

  

「わかりました」


 俺はジエイタイじゃない。

 これぐらい要求してもバチは当たらないだろう。


 これがこの世界での日常。

 これがこの世界での現実。


 だが今は希望がある。


 そのために俺は死神の大鎌を振るおう。

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