第二十二話「小休止」

 Side 緋田 キンジ


「しっかし、この駐屯地も一気に賑やかになったな。特に女性の比率が」


 キョウスケの感想に「ああ――まるで学園になったみたいだな」と返す。

 

 と言うのもAliceの少女達やエクスキャリバーの装着者、マジックメイルの装着者が全員女学生か女学生ぐらいの年齢の割合が多かったのだ。


 皆規律とかそう言うのがシッカリしていて助かる。

 これが現代日本の学生連中だったらどうなっていた事やら。


 メイド喫茶ストレンジ(仮設)も一体どう言う手口を使ったのか男女ともに何だかんだで盛り上がっている感がある。

 

「リオも楽しんでるみたいだし、いいか」


「パメラは頭を抱えてたけど――まあ何だかんだ言ってこの状況楽しんでるみたいで一安心だ」


 キョウスケはパメラの心配をしていたが杞憂に終わったようで良かった。


「それにパメラ、パワードスーツの祭典状態になってちょっと興奮してるぜ。何処の世界にも似たようなのがいるらしくてな――すっかり仲良くなっちまってる」


「そう言えば狭山君やフィア皇子の周りにもいたなぁ……」


 どこにでもいるんだな、そう言うのはと思うに至る。



 Side ルーナ・キャスケット


 混沌とした状況だと私は思った。

 恐らく後にも先にもこんな事態、起きないだろうと思えるほどに。

 

 高飛さんはと言うと、またしても女子会に夢中になっている。

 と言うか趣味が合う女性がいたらしくてその子達とあれこれしているのだ。

 

 私もディメンションクロスやエクスキャリバー乗りだと言う事で色々と質問されていた。


 照れくさい気持ちで一杯だ。


 でも正直言うと悪くはないのだ。


 ううう……どうしてこんな事に……



 Side フィア・バハムス皇子


 僕は何故かメイド喫茶で色んな女性に持て成されていた。

 

 セシリーやエリオット達はメイド服姿で僕の傍の席争いを繰り広げている。


 アルティニーは何やら気の合う少女達と何やら話し込み、あれこれと質問したり質問に答えたりしていた。

 何だか近寄り難い雰囲気である。


「しかしどうして皆僕に集まるの?」


「皇子様で強くてカッコいい……かどうかは分からないけど魅力的な男性だからよ」


「あ、アイシスさん?」


 アイシスさんがメイド服姿でそう答えてくれた。


「それよりも私との婚約、いいかげん考えてくれたかしら?」


「今それを言う?」


 周りを見ると――セシリーさん達が顔を真っ赤にしてアレコレと言ってきた。

 周囲も何だか騒がしい。


「それともハーレムルートがお好みなのかしら? まあ帝国の法的にはありなのよね?」


「は、ハーレムってそんな……」


「でも日本人の狭山君はハーレム作っちゃってるし……」


「アレは政略結婚的な奴だと聞いてるんですけど」


 何か今日のアイシスさん積極的に爆弾を落としてくるね。


「だけど優柔不断そうだし、このままだと結論を先延ばしして、そうなっちゃうのがオチだと思うわ」


「なんかそんな気がして来た……」


 何だろう。

 まるでそう言う未来を見てきたかのような説得力は。


「まあここで私を選べばそれで――」


「ちょっと抜け駆けはよくないよ!!」


「そうです!! 許しません!!」


「わわわわ、私もどうかと思います!!」


 アイシスさんの言葉に、セシリー、エリオット、キャロルの順で反論してきた。

 

 そして――


「私のことを、忘れてはいませんよね? 主様は?」


 今迄何処に潜んでいたのやら、カスミがすっと現れ、僕の頬にキスをして消えた。

 そして周囲に黄色い悲鳴が沸き上がる。

 

 もうなんなのこの状況は――

 


 Side 緋田 キンジ


「苦労してんだなアイツ……」


「だな……」


 俺の言葉にキョウスケも同意した。

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