第六十一話「決着」
Side 宗像 キョウスケ
(援護したいが――無理だな――)
まさかウチの隊長が敵の総大将と一騎打ち。
援護したいがしぶとく生き延びていた敵の無人機がしぶとく稼働して襲い掛かってくる。
どの道、激しく動き回っている両者の現状では援護も難しいが。
(どうにか生き延びろよ!!)
と思いながら『とにかく今は生き延びる事を考えろ!!』と隊員達に指示を飛ばす。
伊達にみんなここまで生き延びちゃいない。
生き延びろよキンジ。
☆
Side 緋田 キンジ
一対一の対決。
互いの銃撃が平野で交差する。
敵のパワーローダーも俺のパワーローダーも互いに地面を滑走し、時には空中を飛び、位置取りを行う。
(こっちも連戦で悲鳴を挙げてるが――相手も思ったより動きが鈍い――)
相手も自分と似たような状態なのではないかと思った。
あの10mのデカブツに生身か、あるいはパワーローダーを身に纏って搭乗していたかは分からないが。
あの状況ではどちらにしろ――爆発するきっかけとなったミサイルコンテナの大爆発の時点で爆発による衝撃波で人体にダメージを負っていたはずだ。
それは例えパワーローダーを身に纏っていたとしても同じである。
それを分かっていながら戦闘を仕掛けたのは――いわゆる死に場所のような物を求めているかのようにも思える。
(だが手加減するワケにもいかない!!)
後でキョウスケやリオに色々と言われそうだが――ここでコイツは絶対に倒さなければならない。
ミサイルやレーザー機関砲、ビームバズーカの砲火を避けてこちらもビームアサルトライフル、アームガン(左腕の固定式の実体弾)、背中の四連装ミサイル、キャノン砲で応戦していく。
『この強さ――アインブラッドタイプとは言え!?』
『伊達に修羅場は潜っちゃいないんでな!!』
敵の損傷率がどんどん上がっていく。
致命打は避けてはいるが、どんどん火花や煙が出始めている。
やはり戦う前からダメージを負っていたのだろう。
『こうなれば――!!』
此方の攻撃をビームバズーカを盾代わりにして防いで一気に詰め寄ってくる。
視界が塞がれ――
『せめて貴様だけでも!!』
そして左腕から光学ブレードが伸びて横薙ぎの一撃を仕掛けようとしてくる。
俺は――
『なんとぉおおおおおおおお!!』
『っ!?』
俺は空中に飛び上がり、前に一回転。
上下逆の逆さになり、がら空きとなった背中にビームアサルトライフルを撃ちこむ。
それを背中の別種のミサイルコンテナをパージして防いで致命打を避けるが至近距離で自分のミサイルコンテナの爆発を諸に浴びる結果となる。
俺は地面に着地して銃を構えた。
『俺の野望は――俺の野望が――こんなところで――認めん、認めん!! 認めんぞぉおおおおおおおおおおおおおお!!』
『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
俺は相手の意見に耳を貸さずビームアサルトライフル、四連装ミサイル、キャノン砲、両脚部二連装レーザー砲を一斉発射した。
相手は避ける事もなく、攻撃が重い白いように当たる。
そして――爆発が起きた。
ヴァイパーのパワーローダーの残骸が彼方此方に降り注ぐ。
『美味しいところ持っていきやがったなこのやろう』
『悪い、キョウスケ。先行した俺も悪かったけどそっちの援護があれば楽に片付いたと思うんだけど』
『それを言われるとキツイな――先行せずに皆で迎撃していれば確実だったと思うが、相手の腕前を見れば乱戦に持ち込まれて被害が出ていた可能性もあるし――まあ、あんまこう言う事するんじゃねえぞ。リオが心配する』
『ああ……そうだな』
リオの名前を出されて俺は深く反省した。
俺は自衛官でアニメや漫画のヒーローじゃないのだから。
『まあ――これでヴァイパーズも壊滅かな?』
『まだ残党が残っている可能性もあるが――敵の総大将を倒したのとこの拠点を制圧――と言うより壊滅させたのは大きいな』
『あの大爆発だもんな。地下部分はともかく、地上の建造物は壊滅だな』
キョウスケが言うようにヴァイパーズの総大将が乗っていた巨大機動兵器の大爆発で基地の建造物に多大なダメージを負っている。
地下ブロックにも被害が及んでいるだろう。
『はあ……気になる事は多いがともかく帰り支度するか』
リビルドアーミーとかフォボスとか考えることは多いが今は勝利を喜ぶことにした。
『そうだな。作戦は終了だな』
『ああ――』
☆
作戦終了後。
俺たち第13偵察隊は独立部隊としてこの世界周辺の偵察任務に戻る事となる。
だがその前にパワーローダーの整備や物資の補給などをしなければならない。
他の部隊も連戦で疲れている。
そのため暫くはヴァイパーズの元基地に駐留し、休む傍ら基地の調査、あわよくば復旧、再利用のためのお手伝いをする事になったのであった。
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