第五十七話「陸上戦艦制圧作戦その2」

 Side 陸上自衛隊 戦車 パワーローダーを中心とした増援部隊


『敵をこのまま進軍させるな!! ホバー部分を狙え!!』


『戦車隊!! 目標は敵陸上戦艦!! 他の目標はパワーローダー部隊に任せろ!!』


 俺達の任務は陸上戦艦の足を止める事と周囲に展開した敵部隊の排除だ。

 

 次々と敵を掃討していく。


『お前達に殺された仲間の恨み、晴らさせてもらう!!』


 一機のパワーローダー、自衛隊のドランの改良型――が全身からミサイルを解き放つ。


 中にはレールガンやらビームキャノンを搭載している機体までいる。

  

『ダ、ダメだ!? 逃げろ!?』


『逃げるたって何処へ!?』


『み、ミサイルがぁああああああああああ!?』


 次々と面白いように吹き飛んでいく敵の機体。

 哀れにも見えるが敵は市民の虐殺を目論み、平然と実行するような連中だ。

 ここで逃せば悲劇が起きる。


 ここは心を鬼にして狩り続ける。


『レールガン!! 発射!!』


 戦車部隊に交じって――ここまで護衛されてきたレールガンタンクがその威力を発揮。

 戦艦のホバー部分に突き刺さり、爆発炎上する。 



 Side 緋田 キンジ


 戦いその物は激しいが戦況は優勢である。


 陸上戦艦事態も増援で駆けつけたヘリ部隊や地上部隊が頑張ってくれているおかげで速度が落ちてきている。


 それでも必死に抵抗を続けているので油断は出来ない。


 俺の機体もキョウスケの機体も火力重視なため、同士討ちにならないように気を遣いながら敵を撃破していく。


 リオとパンサー、水瀬と高倉は彼方此方飛び回りながら手身近な敵から片付けていく。


 ルーキーも高機動型に改造されたドランで頑張っている。


『テメェらよくも好き放題してくれたな!? このグレイドゥ様が直々に相手をしてやる!!』


 艦橋手前の昇降口から大型の機体――パワーローダーのシルエットから外れた全高4mサイズのロボットが現れた。

 頭部がなく、胴体の上にキャノン砲やらミサイル、両腕にガトリング砲、キャノン砲と思いつく限りの重火器を乗っけている。


 周囲にも部下と思わしき連中やセントリーロボット、アサルトロボット、浮遊ドローンなどが浮いている。


『クソ!? 戦艦への被害とかお構いなしかよ!?』

 

 俺はそう愚痴りながらスクラップになった砲台に身を隠した。


『だが奴を倒せばここでの戦いは終いだ!!』


 確かにキョウスケが言うように奴が隊長格――もしくは指揮官格と見て間違いないだろう。


 ここで倒せば終わる。



 Side ヴァイパーズ 陸上戦艦 艦長 グレイドゥ


 ここまでコケにしやがって。


 この特注仕様のギガンデス(乗ってる機体の名前)であの世に全員送ってやる!!


 目につく敵は全員ぶっ殺せば終いだ!!


 ハハハハハハハハハハハ!!


 Side 緋田 キンジ


『好き放題に打ちまくりやがって!! 錯乱してやがるのか!?』


 敵の激しい砲火から身を隠しながらキョウスケが言う。


『側面に回り込んで仕掛けるしかない!! 俺が左でキョウスケが右から仕掛けてくれ!! リオやパンサーは上からだ!! 他の隊員は援護!! カウント5で仕掛ける!』


『それしかなさそうだな!! クソ!!』


 なんだかんだ言いながら付き合いいいよな。

 

『3、2、1――いま!!』


 俺とキョウスケは左右に別れた。

 リオとパンサーは上から。

 他の隊員は援護してくれる。


『総員13部隊を援護しろ!!』

 

『『『『『了解』』』』』


 他の味方も援護に入る。

 

 思ったように敵の弾幕がばらけた。

 

 味方の援護射撃が効いている。


『せっかくだ!! ミサイルを持っていけ!!』


 上空から戦闘機のミサイルが発射される。

 それを敵は慌てて撃ち落とそうとし――上空で大爆発が起きる。

『今だ!!』


 俺もそれに続くように全身の火器を開放。

 右肩のミサイル、左肩のキャノン砲。

 左腕のアームガン、右腕のアサルトライフル。

 両脚部の二連装小型レーザー砲。


 全て解き放った。

 

『こっちも受け取れ!!』


 キョウスケも続いて両肩のビームキャノン、両腕のアームガン、両脚部のミサイルコンテナからミサイルを発射する。

  

『私も続く!!』


『OK、リオ!!』


 リオとパンサーも持てる火器を上空から解き放った。


 当然敵の隊長機を中心に大爆発が起きる。

 

『まだ生きてやがるぞ!?』


 敵の隊長機――ロボットはしぶとかった。

 全身ボロボロになりながらもまだ稼働している。


『なんでだ!? なんで突然お前らみたいな奴が現れるんだよ!! クソが!!』


 そう言いながらまだ破壊を止めようとしない。

 まるで駄々っ子を相手にしているようだ。 

 全身から小爆発や煙、火花を吹き出しながらもなお――


『離れろ!! 爆発するぞ!!』


 俺は退避指示を出してその場を離れた。


 遅れて敵の隊長機が大爆発を引き起こす。


 最後は自爆。


 本当に錯乱していたようだ。


『どうやらそれが敵の指揮官だったようだ。敵は後退した――』

 

 佐伯が上空から様子を伝えてくる。


『基地から連絡だ。辛いだろうが我々も態勢を立て直し次第、ヴァイパーズの本拠地に攻め込む』


 いよいよヴァイパーズとの最終決戦がはじまる。


 一先ず俺達は周囲を警戒しながらこの場を離れることにした。

 

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