第二十一話「決意」
Side 佐伯 麗子
リビルドアーミー。
噂通りの集団だった。
突然チンピラの如く勝手に絡んで少し言い返されただけで報復に出るなど、沸点が低いのにも程がある。
そいつらが来ると言う事で戦闘態勢を執っている。
ヴァネッサと言う女は正直信用できないが、ドローンなどから得られた情報からして確かなようだ。
全くの無傷とは行かないだろうがこの世界に関わって初めての時から此方も戦力を増強させてきた。
後はあいつら(緋田 キンジと宗像 キョウスケ)に託すか。
☆
Side 緋田 キンジ
(どうするよコレ・・・・・・)
困った事が起きた。
この基地に留まっている現地住民にいちおう避難するように言ったのだが言うこと聞かない。
戦う気満々のようだ。
どんだけ恨みを買ってるんだリビルドアーミー。
「やっぱり、みんなやる気みたいだね」
「リオか・・・・・・」
「リビルドアーミーに苦しめられた人は少なくないから。村や町を焼き払われて、みな怯えながら暮らしている。だけどやり過ぎると取り分が減るからと言う理由だけで生かされている町も多い。シップタウンとかもそう」
と、リオは悲しそうに言った。
「大丈夫だ。俺達はまけねーよ」
「本当に?」
「ああ」
リオを安心させるように言った。
本当は俺も恐い。
ヴァイパーズや野盗連中とは違う、腐っちゃいるが本格的な軍事組織が相手だ。
だが戦わないと言う選択肢はない。
☆
基地敷地内。
俺はパワーローダー、フェンサーを身に纏って周囲を見渡す。
『中々良さそうな機体が回ってきたな』
キョウスケは新たに仕入れたバレルと言う重厚感漂う背中に背負った二門の大砲が特徴的な砲撃型のパワーローダーに身に纏い、装着していたドランをルーキーに回した。
『ヒトミ、いける?』
『キョウカこそ』
同じく第13偵察隊のWACの水瀬 キョウカ、高倉 ヒトミもパワーローダー、ブロッサムと呼ばれる機体を装着している。
ブロッサムは丸っこく流線的でホッソリとしたシルエットでリオのゲイルと同じく機動戦重視の機体らしく、中々高性能のようだ。
『しかしパワーローダーもここまで揃うと壮観だな』
『ああ』
キョウスケの言う通り、自衛隊が保有しているパワーローダーの数は百台を越えている。
周囲の他の部隊の隊員はドランやバレルなどを身に纏っている。
基本他の部隊はやはりと言うかドランなどが中心だ。
ドランは手に入りやすいパワーローダーなのだろう。
中には見たこともない機種が存在する。
こんなに様々な機種を動じ運用すると整備とか大変そうだが――パワーローダー全般に言えることだがそんなに手間は掛からないらしいと言うのだから凄いものだ。
他にも戦闘ロボット、アサルト型やセントリー型に浮遊型も実戦投入されていた。
もう軍備が世界的に見て周回遅れな陸自の姿はなかった。
最新鋭通り越して未来兵器で武装した最強の陸上自衛隊である。
☆
Side リオ
私はゲイルを身に纏う。
もちろんリビルドアーミーと戦うためだ。
『リオっちやる気だね。そんなにあの人達(自衛隊)気に入ってるんだ?』
ジェネを身に纏ったパンサーがそう言う。
『そう言うパンサーこそ、やる気なんだ』
『まあね。ここの自衛隊の人達に夢のような暮らしさせてもらってるしね。いざって時の蓄えはあるけど無くなっていいかは別問題』
『うん。パンサーもなんだかんだでお人好しなんだね』
『えーひどーい。パンサーはこれでもお人好しだよ?』
なんだかおかしくなって二人で一緒に笑ってしまった。
『パメラもなんだかんだ言って手伝ってくれるみたい』
『あの子も素直じゃないんだから――ま、私達なんだかんだで変わり者でお人好しの集まりだったと言う事じゃない?』
『そうみたい』
パンサーの言う通り。
私達はこの世界では変わり者のお人好し集団だった。
自分でもまさかここまでとは思ってもいなかつたが。
あの人達、ジエイタイの人達に感化されたのかもしれない。
そして私達はリビルドアーミーと戦うためにジエイタイの人達の下へと向かった。
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