第十八話「Aliceの少女」

 Side 緋田 キンジ


 横須賀基地内のラウンジでくつろぐ俺達、第13偵察隊。

 

 話題はもっぱらこの世界のこと、人類の天敵ゼレーナやAliceと言う力を持つ少女達のことだった。


「またバハムス帝国や世紀末世界の連中で手一杯なのに、ゼレーナと戦うのか……一気にスケールデカくなってないか?」


「まあな……」


 キョウスケが言いたい気持ちは分かる。

 いきなり外宇宙の敵まで参戦してきたのだ。

 戦う身としては勘弁してくれよって言う気分である。


「リオさんやパンサーさんってAliceじゃないんですか?」


「さっきの戦闘データ見ました! 凄かったです!」


 そしてリオとパンサーはと言うと、Alice能力者らしき白い制服の少女達に囲まれていた。


「あれどうすんの?」


 キョウスケが指さして言うが俺は「まあ戦い続きだったし、放っておこう」と言っておいた。

 リオやパンサーも十代の少女だ。

 ちょっとぐらい、らしい事させてもバチは当たらんだろう。


「それはそうとエリオット、大丈夫か?」


「はい。正直理解が追い付かない部分がありますが、一旦しかるべき場所に報告に戻った方がいいのかもしれません」 


「ゆっくりばかりもしてられないか……だが今は色々あってどうもできん。報告するための資料の作成の手伝いぐらいならかまわないぞ」


「ありがとうございます」


 と、丁寧に返事をした。


 続けてエリオットは――


「正直言うとこの先どうなるのか不安で、心細くて――どうにかなってしまいそうです」


 俺はどう言葉を掛けるべきか悩んだ。


「でも僕は――信じてみたい。皆さんのことを」


「……そうか」


 強いなと思った。



 Side リオ


 私はAliceの少女達と色々と会話していた。


 キョウスケの妹、マユミもそうだったが――彼女達はより一層に童話の世界の穏やかな住民のように思えた。


 とても死線を潜ってるとは思えない雰囲気だが、微かに戦う者の心構えのような物を感じている。


「リオさんってAliceじゃないのにゼレーナを倒せるぐらい強くて凄いなって思います」


 ピンク髪のショートヘアの可愛らしい女の子。

 愛坂 イチゴが言った。

 Aliceの一人で周囲が言うには歴代最大の適正地らしい。

 ただし戦闘技術ではまだまだ先輩方には及ばないとかなんとか。


「それを言うならこの世界の軍隊の人達だってパワーローダーで戦ってるでしょ?」


「それはそうだけど――私、能力はあるみたいなんですけど上手く動かせなくて――」


「それはイチゴが未熟だからだ」


「トウカ先輩、そんなにハッキリ言わなくても」


 御剣 トウカ。

 黒髪のポニーテールヘアでキリっとした感じの、少女らしからぬ軍人然とした雰囲気を持つ女の子だ。

 常に日本刀を携帯している。


「だが正直言うと、君達の実力に興味はある」


「私達と戦いたいってこと?」


 トウカの一言で「ちょっとトウカ先輩?」と、イチゴが慌てた様子を見せる。

 周りも、パンサーも含めて口々に「面白そう」と言い始めた。


「あー念のため釘刺しとくけど任務があるし、補修用の機材の関係でダメだからな」


 と、そこでキンジが言ってきた。

 ようするに模擬戦はダメらしい。


 パメラも「キンジの言う通りよ。なるべく資材は節約しないと――」と言う事らしい。


「ならシュミレーターはどうだ?」


「シュミレーター?」


 トウカの提案に私は首を捻った。

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