第四十九話「シップタウンへの帰還」

 Side 緋田 キンジ


『初めて来た時の事を思い出すな!』


 キョウスケの言葉に『ああ、そうだな!』と返す。


 シップタウンに到着したら敵襲を受けていた。


 敵はヴァイパーズ。


 戦車や武装車両、パワーローダー、無人兵器の混成部隊だ。

 

 キョウスケの言う通りシップタウンに初めて来た時もこんな感じだったが今回は敵の数が多い。


 ヴァイパーズが決戦に備えていると言う話やリビルドアーミーの支援を受けていると言う話は現実味を帯びてきた。


『ほう、自衛隊の新手か――』


『通信?』


 突然の通信。

 相手は戦車サイズの、大きな緑色のカニのようなマシンに乗っている。


『私はヴァイパーズのクラーベだ。キサマを殺す物の名だよ』


 上から目線の低い男の声がした。

 そしてカニのようなマシンが地面を滑走して突っ込んでくる。


『速い上に堅いぞ!!』


 キョウスケ達が攻撃を仕掛けるが相手は時に避け、時に受け止めて攻撃を仕掛ける。


『あんなのに接近戦を持ち込まれたら終わりだ!! 散開しろ!!』


 俺は指示を飛ばす。

 キョウスケやリオ達が散り散りになる。

 そして俺の方に向かって来た。

 胴体からミサイル、ビーム砲。

 そして胴体の前部両椀についているハサミからもビーム砲が飛び出た。


 見た目通りに高火力だ。


 それをギリギリで避ける。


『キョウスケはやらせないよ!!』


『チィ!!』


 パンサーの黒いパワーローダー、ジェネからマシンガンとバズーカが浴びせられる。

 だがそれを軽く回避し、反撃に転じる。

 見掛けによらず旋回力も高い。

  

『隊長達はやらせない!!』


 ルーキーがドランで弾幕を張り、他の敵を遮断する。 

 

『ヒトミ!!』


『分かってる!!』


 水瀬 キョウカと高倉 ヒトミのペアもパワーローダーブロッサムでルーキーと一緒に遮断してくれる。

 他の第13偵察隊の隊員達も同じだ。


『やってくれる!!』


 俺とキョウスケ、リオとパンサーの四人がかりでクラーベが駆るカニ型マシンを追い詰めていく。

 ブーストを後先考えずに使ってのドッグファイト。

 距離を離されてのヒットアンドアウェイや長距離戦に持ち込まれたら負ける。

 今がチャンスなのだ。


『もらった!!』


 そしてヴァイパーズのクラーベが乗るカニ型マシンにキョウスケのパワーローダー、バレルの両肩キャノンが着弾する。

 破壊には至らないがダメージは通ったようだ。


『チッ――引き際か――総員撤退!!』

 

 敵の数が少なくなり――形勢の不利を悟ったのかクラーベとカニ型マシンは他のヴァイパーズの仲間達と一緒に撤退していった。

 

 敵ながら引き際も鮮やかだ。


 どうにか修羅場を潜り抜け、シップタウンに入り込む事にする。


『やはりパワーローダーの性能差が――』


『ああ――正直キツいな――』


 キョウスケも愚痴りたい気持ちも分かる。

 敵も段々手強くなっている。

 ヴァネッサのパワーローダーを待つか、それと中継ぎで他の機種に乗るか。

 悩みどころである。


『・・・・・・シップタウンに入ろう。現状確認だ』


 その問題は脇に置いておき、シップタウンに入ることにした。

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