第五十二話「新戦力」

 Side 緋田 キンジ


(こいつは・・・・・・いや、悩んでいる暇はないか)


 誘導に従い、カプセルの元に辿り着くと一目見た時驚いた。

 そこには以前戦ったリビルドアーミーのアインブラッドタイプと共通点を見出すシルエットだったからだ。(第三十二話「アインブラッドの脅威」参照)

 

 グリーンの本体。

 緑色に銀色の二本角。

 黄色い瞳。

 右肩の四連装ロケットランチャー。

 左肩のキャノン砲。

 右腕にはアサルトライフル。

 左腕にはアームガン。

 後ろの腰にはナイフ。

 両足側面にも二連装の銃口機器がついている。


 アインブラッド・ガンブラスト

 

 そいつがこいつの名前。


 これだけの重武装なのに動きがフェンサーよりも軽い。

 思いのままに動く。

 軽くビームのアサルトライフルを薙ぎ払うように発射して敵のアインブラッドを一掃。

 戦車にはミサイルやキャノン砲を撃ち込んでいく。


『スゲェ・・・・・・』


 武器も特注なのか破壊力が今まで使用してきた武器に比べて段違いに高い。

 

『早速暴れてるじゃねえか! 俺達の分も残しておけよキンジ!』


 キョウスケに与えられたパワーローダーはバレルの改良型らしき機体だ。

 両肩に背負うように装備されたキャノン砲。

 手に持った銃器。

 両腕に備え付けられたアームガン。

 両足にはミサイルコンテナ。


『早速行くぞ!! オラオラ!!』


 両肩のビームキャノン。

 両腕の実弾のアームガン。

 両足のミサイルコンテナが一斉に火を噴く。


 敵集団の一塊が丸ごと消えた。


『クソ――これ以上は――』

 

 状況の急展開に焦る様子のクラーベ。

 しかし――


『出遅れてごめん、キンジ』


『私たちの出番じゃん!!』


 リオとパンサーが。

 青と黒の閃光がカプセルから飛び出た。


 青い方はリオが使うゲイルの改良型。

 背中に大きな飛行ユニットが搭載されている。

 二門のキャノン砲が搭載されている。

 手には二丁のライフルを持っていた。

 サイドスカートにも折り畳み式のキャノン砲が接続されている。 


 黒い方はジェネの改良型と思われる。

 大型のブーストバインダーはそのまま。

 サイドスカートにリオの機体と同じく折り畳み式のキャノン砲が接続されている。

 武装はライフルにシールド。

 外見にも大きな変化は見られないがスピードが速くなっている。


 両者は息をピッタリ合わせて次々と進路上の敵を破壊していく。

 

『いや~流石ですね。最新鋭機をこうも使いこなすとは――』


 と、ヴァネッサは言う。

 ピンク色のパワーローダー。

 二つ目にトサカ。

 戦闘機やF1カーのような流線的なフォルム。

 なにより最大の特徴は肩にマウントされた浮遊兵器――空飛ぶ剣だろうか。

 それが空中を自由自在に飛び回って次々と敵を串刺しにしたり、ビームを発射したりする。


 一種の男の夢が実現したような平気だ。


『こんな時になんだが――本当に何者なんだ、アンタ?』


 と、俺は何気に無双しているヴァネッサに尋ねた。


『ここまで来たら私の正体についても詳しく話しますね。今は生き延びることを優先してください』


『了解。約束破るんじゃねえぞ』


 そう言って俺は次々と全身の火器で敵をスクラップにしていく。

 面白いように敵が破壊されていき、今迄の苦戦は何だったんだと言いたくなるような戦いだった。

  

『バカな!? なぜだ!? 我々ヴァイパーズにとってこれは通過点の筈――』


 グラートは必死に応戦しつつ後退していく。

 俺はグラートの言に『いいように利用されてるくせによく言うぜ』と返しておいた。


 敵が退いていく。

 

 傍にリオが来た。

 

『どうするキンジ?』


『放っておくよ――さすがに3度目はないと思うが』


『だけど3度目の正直っていうぜ?』


 確かにキョウスケが言うようにその可能性もあるが。

 それ以前にヴァネッサの正体が気になっていた。


 こうしてシップタウンを守る4度目の戦いは幕を閉じた。

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