第九十三話「最終決戦その3」

 Side 緋田 キンジ


『倒しても倒してもキリがねえ!!』


 リビルドアーミーの人達が敵の大将格の一体を撤退に追い込んだのには成功した。

 しかし状況は劣勢だ。

 敵の数が多すぎる。


 プレラーティ博士が言うには自分たちの世界に展開してきた戦力を引き上げてこの土地に集結させて言っているらしい。

 

 敵はどうやらこの展開をある程度呼んでいたようだ。


『大丈夫だ。希望はある』

 

 と、空中戦艦にいるらしい佐伯 麗子がそう言う。


『つったって――』


『遅くなりました!!』


『狭山君!?』


 唐突に狭山君がパワーローダー部隊を引き連れてやってきた。

 狭山君が重厚で厳ついアインブラッドタイプと思わしき白いパワーローダーを身に纏っていた。


『敵の防衛線が緩んだので突破して援護に駆け付けてきました! 他にも続々と援軍が到着しています!』


『狭山君の言う通り、次々と援軍が駆けつけて来ている!!』


『まだ来るのか!?』


 確かにレーダーには味方のシグナルを出しながら次々とこの戦域にパワーローダーが突入してきていた。


『無事か若いの!!』


『キーツさん!? こんなところまで来てたんですか!?』


 と、シップタウンの防衛部隊の隊長さんであるキーツさんがやって来ていた。


『リオ、パメラ、生きてる!?』


『『『アネット!?』』』


 リオとパメラ、パンサーと同じトレーダー仲間のアネット達。

 背後には様々な種類のパワーローダーが並んでいた。

 小声で『私もいますよ~』とアネットの仲間のニッパの声がした


『こちらガッツ軍曹だ!! 緋田 キンジ隊長はいるか!?』


『ガッツ軍曹まで!?』


 ロボット兵士軍団であるガッツ軍曹達は様々なビークルに乗って突入してくる。

 戦車や武装車両。

 ヘリまで様々だ。


 様々な砲火が火を噴き、敵を圧倒している。


 それだけでなく、一部の空中戦艦も敵の防衛線を突破してきたらしい。

 

『御覧の通り、この戦域は大丈夫だ!! 第13、第7偵察隊、第4小隊はノアの後を追え!! その先に高エネルギー反応がある!!』


 と、佐伯 麗子が言う。

 やはりまだ何か隠し玉があるようだ。


『了解!! くたばるなよ!!』


『もしも死んだらクソ野郎って墓石に刻んでやるからさっさといけ!』


 俺と佐伯 麗子はそうやり取りしながらこの場を後にした。



 俺たち第13偵察隊、第7偵察隊、第4小隊の面々でノアの後を追う。


『ここは第4小隊に任せろ』


『しくじるんじゃねえぞ!!』


 地下施設に入り込もうとしたが入口で第4小隊が殿を務め、


『私はここで食い止める。こう言うのは柄じゃないと思ったんだけどね』


『隊長達は先に!!』


『第7偵察隊も殿に回る!!』


 そして途中でルーキー、水瀬 キョウカ、高倉 ヒトミなどの第13偵察隊、第7偵察隊の面々が途中で敵の足止めを行う事になった。


 残ったのは俺とキョウスケ、リオ、パンサー、ヴァネッサだ。


 辿り着いた先は大きな通路と門だった。


 そこで――ランシスとオードンが白と赤の配色の二本角で二つ目のパワーローダー、アインブラッドタイプと激戦を繰り広げていた。 

 バリアを張り、ビームライフルとシールドを持ち、胴体からビーム砲を放ち、赤いバインダーを飛ばしてオールレンジ攻撃を仕掛けている。


『まさかパワーローダーを製造していたのか』


『まあね』


 と、ノアが答える。


『ここは?』


『フォボスの中枢へと繋がる通路さ。仲間たちはどうしたんだい』


『命懸けで食い止めてくれている』


 正直相手している暇はない。

 どうにかして素早く突破したいと思った。


『こいつは私とヴァネッサで止める!! 二人は先に行って!!』


 リオは決死の覚悟を決めたように言うが――


『させると思うかい?』


 次々と敵のパワーローダーや、無人兵器が雪崩れ込んでくる。

 敵も必死らしい。


『まだだ!! まだ終わりではない』


 ランシスがボロボロになった機体を引き摺りながら立ち上がる。


『俺もこのままでは終わるつもりはない!!』


 オードンも立ち上がった。


『まだこの絶望的な状況下で機体に立ち向かうつもりかい?』

 

『ああ、やってやるさ!』


 ランシスとオードンが再び仕掛ける。

 その後に続くようにリオとパンサーが続く。


 そして俺とキョウスケは――


『この巨大なゲートをどうするかだが――』


 キョウスケが言う様に力尽くで突破は難しいだろう。

 試しにキョウスケがバレル・リヴァイヴで攻撃を仕掛けるがビクともしない。

 

『ゲート脇の端末に接続できるか?』


『なんだと?』


 ここで唐突にプレラーティ博士から通信が入る。


『いいから言う通りにするんだ』


『分かった』


 俺はゲート脇にある端末を見つける。


『今から言う通りに行動しろ』 


『ああ――』


 キョウスケが時間を稼ぎ、俺は言われるがままに端末を操作する。

 そして――

 

『ゲートが開いた!?』


 ノアが驚愕していた。


『なぜゲートが開かれた!? なぜだ!?』


『さあな、プレラーティさんの言われた通りに操作しただけだし』


『あの魔女の仕業か!?』


 瞬間、ノアは次々と攻撃が着弾していく。

 

『悪いが隙だらけですよ』


 ヴァネッサがオールレンジ攻撃で次々と畳みかけ、ヴァネッサの支援を受けたリオとパンサー、ランシス、オードンの4人が次々とノアに畳みかけていく。


『しまった――機体が――』


 ドアが開いた瞬間。

 ノアが驚愕して立ち止まった大きな隙。

 その隙を突かれて次々と攻撃する。


『くっ!! こんなはずでは!?』 


 どうにかノアはリオ達の波状攻撃から抜け出したが大ダメージを負っている。

 長くは持たないだろう。


『それにしてもよく知っていましたね、博士』


『こんな事もあろうかとと言う奴だ。さあ、先を急ぎたまえ』


『ああ。キョウスケは?』


『俺もここで殿に回るわ。代わりにリオを行かせるよ』


『そうか――』


 俺は先を急ぐことにした。

 キョウスケとリオが入れ替わるように傍に並んで飛んでいる。


 目指すはフォボスの中枢だ。



 Side ランシス


 まだ動く。


 まだ諦めてはいない。


 私もオードンのパワーローダーもまだ動く。


 多勢に無勢の状況でも関わらず戦えている。

 

 敵の猛攻を前に――ジエイタイの援護もあるが――それでも戦えていた。


『まさかこんな形で追い詰められるとは――』

 

 ノアは狼狽している。

 オールレンジ攻撃や手持ち武器で必死に抵抗しているが構わない。


(この一撃に懸ける!!)


 私は託されたのだ。

 この瞬間を。

 それはオードンも同じだ。

 互いにビームサーベルを持ち、不思議と息が合った空中機動で相手を撹乱し。

 ジエイタイの援護射撃でノアの距離を詰めて――


『くぅ!?』


 オードンのパワーローダーの胴体からのビーム砲が着弾して、相手は怯んだ。

 その隙を見て私は勝負に出た。

 オードンも同じ気持ちなのか私に合わせてくれた。


『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』』


 そしてノアのパワーローダーに私とオードンのビームサーベルが届く。

 確かな手応えを感じた。

 

『ランシス――ノアは倒したはいいが――』


『ああ――』


 オードンの言わんとしている事は分かる。

 敵も大将を守るために必死だ。

 フォボスの手勢が大量に詰めかけている。

 ジエイタイと自分達を入れて四人では長くは持たないだろう。


 後は突入したあの二人に託すしかないな――

 

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