外伝・アフターストーリーその2

緋田 キンジの物語+α

 Side 緋田 キンジ


 どうも緋田 キンジだ。

 今更ながら自分の過去を書き記しておこうと思う。


 と言っても左翼寄りの思想を持った両親の元で育ち、それは辛い生活を送っていた。


 赤ん坊の頃にベビーカーに乗せられてそのままデモで盾にされたのなんて語り草である。


 遊園地ではなく、反戦運動に行った回数が多いぐらいだ。


 だから家を飛び出した。


 家出も何度もした。


 キョウスケが居なかったら死んでたか、あるいは道を踏み外していただろうな自分は。


 まあそのキョウスケとも何度かケンカした仲だ。


 俺は間違いを認めた。


 キョウスケは昔からリーダーシップと言うかそう言う物があった。


 児童文学の物語ならメインキャラか主役張れる奴だ。


 中学に上がる頃にはケンカに明け暮れていた。


 原因は俺の家庭だ。

 

 だから拳で黙らせてきた。


 まあやり過ぎてキョウスケに咎められたがな。


 そうして時は過ぎ、高校生になって一人暮らしをはじめた。

 まあ苦学生と言う奴だな。

 正直辛かったが、自由と言う奴を初めて感じた。


 自衛隊に入ったのは将来のためとか、金のためだ。

 国防だの日本の未来を守るだの、そんな立派な考えはなかった。


 キョウスケも同じだ。


 んで女クソ上司こと佐伯 麗子と出会ったのもこの頃だ。

 見た目は美女だからな。

 最初は知り合えてラッキーなどと思っていた。


 佐伯も最初は猫を被って接してきたが化けの皮が剥がれるのは早かった。

 様々な面でこき使い、文字通り手足のように馬車の馬のように働かされた。


 それでも俺は――本音を言えば自衛官を続けたかった。

 親への反抗心でである。


 キョウスケは金のためだ。

 だが傭兵とかになる気はなかったらしく、一緒に税金泥棒な自衛官になっていた。


 佐伯 麗子は俺達の手綱を引く役割。


 そんな自衛官人生を歩んでいた。



=バハムス帝国 帝都・最終決戦から一週間後=


『とまあそんな感じであの事件(第一部・プロローグ、プロローグ2参照)が起きて、ここまで来ちゃったのよ』


『改めて聞くと大変だったんだね』


 俺とリオはバハムス帝国の帝都でパワーローダーを身に着け、復興作業を行っている。


 戦闘用じゃなくて作業用の奴だ。


 周りからは物珍しい目で見られていた。

 他の自衛隊の隊員もそんな感じだ。

 日本軍も同じ感じらしい。


 まあ歓迎されないよりかはマシかな?

 

『まあ、普通の自衛官の人生じゃないな。一歩間違えればヤンキー漫画の世界の住民になってたし。まあ中学時代はほぼヤンキー漫画の住民状態だったけど』


『ヤンキー漫画?』


『説明するより見て貰った方が早いかな~』


『自衛隊から金貰ってるし、電子書籍で買えるかな?』

 

『電子書籍か……』


『なんか変?』


『いや、随分俺達の世界に馴染んできたなとか思って』


『そうかな? 電子書籍便利だけど、ちょっと見辛いから本当は本がいいんだけど。あと容量とかの問題があるし――』


 リオは生きている世界その物が違うし、俺達の任務は基本異世界だ。

 だから金が使える場所で爆買いして任務に再突入する感じである。

 電子書籍もその一つだ。

 ダウンロードして持ち運んでいるらしい。


 異世界跨いでネット繋がるのなんてまずないからな。


 特にこの世界は電子機器に影響が出やすい世界だからまずネットは使えないと思った方がいい。


『ふと思ったんだけど電子書籍でどんなの見てるんだ?』


『恋愛物とか日常物』


『そ、そか』


『そんなに変?』


『いや、ちょっと意識してしまうと言うか……』


『あっ……』

  

 特に恋愛ものな。

 思春期の学生かよ俺は。


『ねえ、私の事――大好き?』


 唐突に何を思ったのかリオはそう聞いてくる。


『ああ。大好きだリオ』


『――ありがとう』


 俺達は作業に集中する事にした。

 

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