第二十七話「第二ラウンドの準備」
Side 五籐 春夫 陸将
基地はかなりダメージを負ったがそれよりもやるべき事は多い。
捕虜の搬送。
残骸、遺体の処理。
被害報告。
物資の損耗率、補給要請。
などなどだ。
とにかく基地の修復は後回しだ。
更にはヴァネッサ氏からリビルドアーミーがこのまま引き下がる事はないと言われて急ピッチで連戦の備えを行っている。
「アレだけの大部隊でも先遣隊なのでしょう。次はもっと大部隊で来るとなると厳しいですな」
と、近藤 信也 三佐が言う。
「ああ。ヴァネッサ氏を信用しすぎるワケにもいかんが、今度は空中戦艦なんて代物まで出張ってくる可能性も高いそうだ」
「空中戦艦!?」
「俄には信じられんが――この世界の技術力はまだまだ底が知れん――至急、ありったけの対艦ミサイルを要請――いっそ簡易的なイージス・アショアを設置した方が早いかもしれんな」
イージス・アショアとはいわばイージス艦の機能を持った基地のことだ。
色々あって導入が進んではいないがこの世界で元の世界での問題などないだろう。
と言うか導入しないと死人が増える可能性がある。
「プラズマミサイルやレールガンもありったけ準備しておきましょう」
「許可する。使える手はなんでも使え。でなければ死ぬぞ」
☆
Side 佐伯 麗子
先の戦いは流石に死ぬかと思った。
基地を吹き飛ばすレベルの破壊力の核兵器だからだ。
体の放射能汚染とか大丈夫かって?
この世界のチート薬品、放射能除去剤とかその手の薬品とかでどうとでもなっている。
福島の問題も解決出来そうだし、核兵器を抱えた大国に外交上優位に立てそうだが、そんな未来が来る前に核兵器で消し墨になりそうだ。
冗談抜きで。
今は何時もの基地内のラウンジで同じ階級で女性WACの水島一尉と休憩がてら会話していた。
担当の第7偵察隊が基地にいなくて幾分か負担は減っているらしい。
「聞いてるが思うが、もう一戦あるらしいぞ」
「ええ、聞いてるわ。元の世界から援軍を要請しようにも無駄死にになるだけ・・・・・・それよりも破格の資材コストでロボット軍団を増産した方がいいわ」
「君もすっかりこの世界に染まったな」
「まあね――で、第13偵察隊はどうする気なの?」
「あいつらには優先的にいい武装とパワーローダーを回してある。自惚れかもしれんが・・・・・・自衛隊の最強部隊はあいつらかもしれん」
あの二人(緋田 キンジと宗像 キョウスケ)には聞かせられんがな。
「そうね――否定出来ないわ。他の部隊も元の世界でも十分通用する部隊になってるわ。皮肉な事にね」
この世界の地獄がそう変えた。
そう思うと水島一尉の言う通り本当に皮肉である。
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