第二十九話「モンスター襲来」
Side 緋田 キンジ
そう言えばこの世界、ドラゴンとか出る世界だったな。
すっかり忘れてたわ。
一定の方向からモンスターと呼ばれる生物の群れ。
まるでファンタジーモンスターの見本市。
ゴブリン、オークやイノシシやオオカミ、クマみたいな生物がいる。
そして更に遠方には因縁のアイツ。
ドラゴンがいた。(*第2部第六話「VSドラゴン」参照)
別個体と言うワケではなく、弾痕や爆炎の跡がクッキリ残っているのを見ると同一個体だろう。
どうやらリターンマッチに来たようだ。
すぐさま戦闘用のパワーローダーに乗り換えて迎撃に出る。
とにかく数が多い。
援軍要請は既に送っているが今回は望み薄だ。
幸いなのは此方の味方の殲滅力――ヴァネッサが届けてくれたパワーローダーの火力やマザーバードの飛行船からの火力支援がいいところだろうか。
次々と粉砕していくが数が多い。
それに前回戦ったドラゴン――中々に頑丈だ。
実はこいつ、あの荒廃した世紀末産じゃないかと思えるほどの。
『数が多い!!』
キョウスケは愚痴を漏らしながらパワーローダーの大火力で薙ぎ払っていく。
『このままだと村人達に被害が!!』
リオも的確に空中の敵を撃ち落としていく。
『言いたい事は分かるんだが――』
この戦力でも無理がある。
人数的な問題だ。
特にリオやパンサー、キョウスケにフィアの負担が大きい。
俺もドラゴンを相手どっていてこのままでは――と思ってしまう。
『さしもの異世界軍もこのモンスターの群れの前ではどうしようもできまい!』
そこで新たに帝国のマジックメイル部隊が現れた。
『その声、デスモンドか!?』
フィアが反応する。
どうやら知り合いのようだ。
デスモンド。
確かこの世界に来て初めて戦った相手だった。
(第2部第二話「マジックメイルVS自衛隊」)
その後もプルミア村での一件や2048年の日本との見送りの時に襲い掛かってきた時も指揮や手を回していたらしい。(第2部第七話魔守るための戦い」、第二十一話「世紀末の懐かしい奴」)
『デスモンド、こんな事をして何になるんだ!?』
『黙れ!! 民衆だの大義など所詮は圧倒的な力の前にはゴミ同然!! みな帝国にひれ伏せばいいのだ!!』
それを聞いて俺は――
『……救いようのねえ屑野郎だな』
感じたままに言葉を発した。
『なんだと?』
『大義はともかくそんなに人助けが悪い事なのかよ? 人間をゴミのように扱ったからクーデターを起こされたんだろう?』
リオは何を思ったのか『キンジ……』と俺の名を呼ぶ。
『それはこの皇子が――』
『悪の独裁国家の末路なんてのは三つに一つだ。衰退状態を維持したまま世界に見放されるか、その隙をついて他国に滅ぼされるか、今回みたいにクーデターを起こされるかだ』
『悪だろうが正義だろうが関係ない!! 勝てばいいのだ!!』
『クーデターを起こされた原因すら考えん連中に未来はねえよ!!』
『だが現状はどうだ!? あのゴロツキども(ヴァイパーズ)に続いてこのモンスターの群れ、そして我々の相手が務まるとでも!?』
怒り任せに事実を言うデスモンド。
しかし俺は――
『この程度で戦意を失くすと思ったか? 確かにキツイがこの程度の修羅場でくたばるようならとうの昔に死んでたよ』
『もういい! 寝言はあの世で言え!! 総員攻撃開始!!』
と、デスモンドが襲い来る。
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