第二十八話「道中にて」

 Side 緋田 キンジ


 反乱軍の拠点となっている士官学校へ向かう。

 と言っても想像以上に反乱が長期化したせいで士官学校でも反乱軍の拠点でもなく、難民キャンプ化しているらしい。


 まあそれはともかく―― 


『どうして世紀末世界の陸上戦艦がうろついてんだ!?』 


 空路――アルバトロスやピンクのマザーバードで一気に士官学校へ目指していたらヴァイパーズのマークがついた陸上戦艦を目にした。


 場所は火の手や黒煙が上がり、廃墟と化しつつある村。


 少数ながらマジックメイル達が抵抗しているので加勢する。


 もしも帝国側だったらその時はその時だ。


『あのマークは自衛隊とか言う連中の!?』


『どうしてこんなところに!?』


『応戦しろ!!』


 すっかりヴァイパーズの間でも有名になったもんだ。

 とにかく敵の集中砲火をどうにかしなければならない。


『応戦しつつ別々の方向に散開しろ!! 的を絞らせるな!!』


 俺は指示を飛ばす。


 第13偵察隊だけでなく、フィアの親衛隊やヴァネッサ配下の隊員までいる。

 それぞれ実力は保証済みなのでその点は安心だ。

 指揮権はフィア、ヴァネッサ達がそれぞれ保有している感じだが、俺の指示などには意見を傾けてくれているのでありがたい。


『数はこっちが上なのに!?』


『ダメだ、かなわねえ!!』


 戦闘開始から一分も経たないウチにもう士気が崩壊している。

 陸上戦艦の方にも火の手や黒煙が昇りはじめていた。

 

『おかしいな――前はもっと苦戦した筈なんだが――』


『それだけ俺達が強くなったか、相手が弱くなったか……もしくは両方だろう』


『そう言うもんか……』


 キョウスケの言葉に釈然としないものを感じつつも敵を競うように倒していく。

 相手は一体でも逃すと何やらかすか分からない連中だ。

 無慈悲に殲滅する。

 


 戦いその物は十分も掛からなかった。

 パワーローダーの残骸が村の廃墟の彼方此方に散乱している。

 陸上戦艦は黒煙や火花をあげ、武器は全て潰されて鎮座していた。


 まだ陸上戦艦や村のどっかに敵が残っているかもしれないので油断は出来ないが――


『村人は無事なのはいいが――これじゃ生活できんぞ』


『だな』

 

 幸いにして村人達は自警団のマジックメイルの奮闘もあってか、避難していたようだがキョウスケの指摘通り、家などの生活基盤を破壊されてしまっている。

 このままでは飢え死んでしまうだろう。


『ならあの戦艦に住んでもらえば? 暫くは持つっしょ?』


 ここでパンサーがそう提案してきた。

 その提案にあの世界のシップタウンを思い出す。

 

『気が進まねえがしゃあねえ、内部の掃討戦と行きますか』


 装備を外す必要があるが戦艦内部の残敵掃討に動くことになった。

 


「そ、その、あ、ありがとうございました」


 緊張した様子で自警団の少年少女たちが礼を言ってきた。

 クーデターを引き起こしたとはいえ、皇太子がいるので萎縮してしまっている感があるが――


 少年少女だけなのは帝国の戦争による徴兵や内乱。

 ヴァイパーズのような連中の跳梁を許し、戦える大人達が先に死んでしまって残ったのは子供達だけと言う悲惨な有様だったのだ。


 それを聞いてフィアは辛そうだった。



 村人達は此方を遠巻きに眺めていたが、特にやる事はないので戦後処理と言う名の遺体片づけを行っていた。


 本当はこのまま立ち去って目標地点に向かうことも考えたが、なるべくパワーローダーなどの整備や偵察は万全にしておきたかったと言うのもある。


 それにより空いた時間で暇潰しで予備のパワーローダーで戦後処理と言う奴である。


 そんな時だった。


「モンスターの群れが来たぞ!!」


 と、新たなトラブルが舞い込んできた。


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