第十四話「日本軍と人類の天敵との接触」
Side 緋田 キンジ
自分達は一部パワーローダーを脱ぎ、相手側も一部パワーローダーを脱いだ。
大柄の男と眼鏡を掛けた勤勉そうな女性が現れる。
パワードスーツを身に纏うための装備なのだろうかパイロットスーツの様な物を身に着けている。
「日本軍の石崎大尉だ」
「同じく日本軍の朝倉中尉だ」
仏頂面の大柄の男の方は石崎大尉。
眼鏡を掛けた女性の方は朝倉中尉と言うらしい。
「緋田 キンジ、そちらで言うところの大尉です」
「宗像 キョウスケ、同じくそちらで言うところの大尉です。この第13偵察隊の副隊長をやっています」
俺とキョウスケも自己紹介した。
「階級も違うのか?」
石崎大尉が尋ねて来た。
「それも含めて色々と長い話をしなければなりませんね」
そう言うとキョウスケが「ふと気になったんですが彼方のパワードスーツは一体?」と切り込んでいった。
「アレはパワーローダーだが?」
今度は朝倉中尉が答えた。
「奇遇ですね。此方のパワードスーツ兵器もパワーローダーと呼ばれているんですよ」
俺はそう答えた。
「そちらにもプレラーティ博士がいるのか?」
爆弾が落ちた。
プレラーティ博士なんて言う偽名丸出しの博士が並行世界にもいる可能性は――
(よくよく考えてみればあったな……)
フォボスとの最終決戦の時、フォボスへと繋がるゲートが開いた時、フォボスはプレラーティ博士の事を知っていた様子だった。
そもそも境界駐屯地――自分達が元居た世界とリオ達が元居た世紀末世界へのゲートが開いた先のあの基地にゲートが開いたのはあの世界のプレラーティ博士が関与していたらしい。
付け加えて言えばプレラーティ博士は座標さえ分かれば空間転移用のゲートや並行世界へのゲートを開発する程の超天才科学者である。
何らかの理由で他の世界でパワーローダーを開発していたとしても別に不思議ではないだろう。
「いる事はいるが、このパワーローダーは別の世界で拾った奴を使ってる」
本題を逸らす様にして会話を続けた。
プレラーティ博士は最重要機密だ。
あまり進んでペラペラ喋ると佐伯や上の方から何か言われそうだ。
「話に出ていた世界の奴をか?」
「はい、核戦争かなんかで荒廃した世界の奴です」
「大丈夫なのか?」
石崎大尉はもっともな問いをする。
「土地や環境が劣悪な中でも戦えると言う事はそれだけ信頼性があるって事なんです」
「成る程。兵器に求められる要点は十分に満たしていると言う事か」
「そう言う事です」
「今はゼレーナとの戦いでその辺は度外視されているからな」
なんか不吉なワードを発したぞ。
「その、ゼレーナってのは何ですか?」
俺は恐る恐るその単語について尋ねた。
「言ってしまえば人類の天敵だ。そっちの世界にはいないのか?」
石崎大尉はイヤな思い出を思い出すかのような苦渋な表情でそう口を開いた。
『お喋りのところ悪いが未知の反応が複数!! 来るぞ!!』
俺は気になる話の内容を一時中断し、石崎大尉に謎の反応の接近を伝えてパワーローダーの装着に向かった。
それは見たこともない銀色のSFアニメに出てきそうな戦闘機だった。
更に後方には大きな青い飛行船、いや、宇宙船? らしき姿まであった。
『嘘だろ!? この反応――どうしてこの世界にゼレーナがいるんだ!?』
と、石崎大尉は叫んだ。
それを聞いた時、俺は一瞬何が何だか分からなかった。
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