第八十三話「ガールズトーク」
Side 宗像 マユミ
最近世間がきな臭い。
とても騒がしい。
勘の部分もある。
だけど私の平凡な毎日は続いている。
そんな時にまた兄貴ともう一つの世界から来た三人の美女がやって来た。
今回はヴァネッサと言う人はいないようだ。
久しぶりの再会に喜んだが同時に不安がよぎった。
何かとても悪いことが起きるんじゃないかって。
実際前回も、別れた後に日本国内で大規模な実戦らしき物があったと言われている。
詳細は分からない。
だが今も世界中で、日本国内で、ネット上では世界中の軍隊と戦っている謎の存在の情報が出回っている。
だけどそれを聞こうとは思わなかった。
聞いてしまうと引き返せないような、命の危険に関わるような怖さがあるからだ。
それはともかく――
「二人ともゲーム好きですね……」
今はリオさんはキンジさんの付き添いしている。
何があったか聞くのは野暮だろう。
残ったパメラとパンサーさんが私の部屋でゲームをしている。
何気にまた来るかなと思ってラインナップを増やしておいた。
「向こうの世界、娯楽が乏しいからね~」
「まあ中々遊ぶ暇が取れないってのもあるけど確かにそれもあるわね。向こうに持ち込んだゲーセンの個体ってこっちじゃもう型落ちの奴なんでしょ?」
パンサーさんとパメラさんの二人が仲良くゲーム機でプレイしながらそう言う。
「その――二人は、また戦いに行くの?」
「まあね。今度ばっかりは死ぬかもしれない」
「そうね。たぶん大規模な戦闘になると思う」
パンサー、パメラさんの順にあっけらかんとそう言う。
「そう――私は、正直恐いよ。これが最後の別れになるかもって思うと。だけど、二人は戦うんだよね?」
「そだよ。まあ本音を言えば良い男捕まえるまでは死にたくないかな?」
「相変わらずねパンサーは。まあこうなったらとことんキョウスケやリオに付き合うって決めてるから」
「二人とも本当に戦いに行く前とは思えないね」
神経が図太いと言うか、肝が据わってると言うか。
私は呆れてしまった。
「そう言えばマユミは彼氏できた?」
「いや、だから私達の年代で彼氏はいない方が多いって。三十代で結婚とかも珍しくないから」
パンサーさん絶対ワザとこの話題ふったよね。
「そう言うパンサーさんは良い相手見つかりそうなんですか?」
「うーん、お誘いの声はあるんだけどね。中々ガツンと来るのが来ない。そう言う相手なら別に胸目当てでもいいかなーなんて思うんだけど」
「それは止めといた方がいいよ。胸目当ての男性なんてロクなのいないよ」
と、私は止めるが――
「最初はそうでも意外といい男かもしんないじゃん?」
「なんつーかこう、前にも言ったけど恋愛感覚まるで違うのね」
恋愛とか死生の考え方、命のやり取りについてとか、住んでる世界が違うことを感じてしまう。
「私も最初は驚いたし――結婚30代が当たり前とか、十代で結婚は異常とか」
ふとパメラさんがそう言う。
「まあ、あんまり私達の考え押し付けんのもよくないんじゃない? ジエイタイの人達ってその辺けっこう気を遣ってるみたいよ?」
と、パンサーも語る。
そんな二人を見て、私はこう思った。
「……また会えますよね」
と。
「うん、また会いにくるわ」
「……はい」
パメラさんの返事に頷き、
「約束するよマユミ。出来なかったら全財産やるよ」
「それは遠慮しときます」
と、パンサーさんの申し出を断った。
パンサーさんの全財産って、武器、弾薬とか向こう側の世界の通貨とか困るんですけど……
なんだかおかしくなって笑ってしまった。
また会えるよね?
絶対だよ?
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