第十八話「機体の準備」
Side 緋田 キンジ
大阪日本橋臨時駐屯地。
臨時格納庫にて。
「つまりまたフェンサーで頑張るしかないと」
俺は谷村君と相談していた。
内容は単純にパワーローダーの強化に時間が掛かるため、代わりのパワーローダーを使用する必要があるとの事だ。
それの準備のために当然代替えのパワーローダーが必要となるワケだ。
思い当たるのはバハムス帝国の時に使用していたフェンサーだ。
あるいはドランか。
だが相手をする敵のレベル――ディアボロス相手は無理だと割り切るとして、アジア連はまだいいがザイラム軍クラスになると、心もとないと言うのが実情だ。
まあ生身で戦うよりかはマシだが。
「いっそヴァネッサさんに頼んでパワーローダーを調達してみては? あの世界なら少なくともドランやフェンサーよりも上のクラスのパワーローダーは手に入ると思いますし」
ヴァネッサの使用するドラグーン・ルージュはとんでもない性能だ。
一応カスタム機とは聞いているがそれでもアインブラッドタイプに匹敵、あるいは上回る性能だ。
「前に考えてみたんだが色々と面倒な手続きが必要らしくてな……」
「成程」
世紀末世界で購入したり拾って修理して使用するのとはワケが違うのだ。
ヴァネッサは別の並行世界の地球人で特殊部隊の人間である。
何故か今でも協力してくれているのはありがたいが、言い方は悪いが別の世界の別組織の人間である。
勝手に「お願いします」と頭を下げて頼んで手に入れるワケにはいかないのだ。
面倒な話ではあるが。
「まあその手続きはヘレンさんや″僕″やプレラーティさん、ヴァネッサさんにお任せする形でいいと思いますよ。状況が状況ですしね」
「僕?」
「こう見えても色々と顔が利くんですよ自分」
「はあ……」
との事らしい。
深く考えないでおこう。
「まあどの道、機体が届くまではフェンサーかドランで頑張ってもらうしかないのが辛いとこですね」
「やっぱそうなるか」
まあちょっとの間の我慢かと割り切る。
「そう言えばリオの機体は?」
「ああリオさんの機体は強化限界ですからね。手間暇を考えると、いっそ新しい機体を用立てた方が早いんじゃないかと言う結論がでまして――」
「まあ確かにな」
リオは控えめに言って天才だ。
今のゲイル・リヴァイヴでも十分過ぎる程に活躍しているがそれでも段々と本人の能力に機体が追い付いていけてなくなってるのだ。
「いっその事、シュトラールでも使いますか?」
「ああ、あの機体?」
シュトラール。
谷村 亮太郎が使ってるタイプのパワーローダーである。
カタログスペックを見たが化け物だ。
普通の人間に乗りこなすのは不可能な決闘機である。
谷村 亮太郎が駆る黒と金のシュトラールはもっと化け物らしい。(Aliceの少女達やフィア達、談)
まあ性能は保証済みなのだが――
「本人が良いって言ったらな」
「まあ、それが普通の判断ですね。アレ普通の人間は乗りこなせませんし」
(それを乗りこなす君は何なんだ……)
などと俺は思った。
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