緋田 キンジ会話集
=宗像 キョウスケの場合=
「どうやら終わりが近づいてきたようだな」
「ああ。みたいだな」
キョウスケもなんとなく戦いの終わりが近づいて来ているのを感じ取っているみたいだ。
「まさかまた世界の命運なんてもんに関わるとは思いもしなかった」
「俺もだ――本当になんとか大戦の世界だな」
「それはそうとリオとはどうなんだ?」
「敵味方のマジックメイルの乗りの女の子達と仲良くやってるよ」
「コミュ力すげえな」
本当にそうだ。
パンサーやパメラも上手く溶け込めているらしい。
世紀末育ちは凄いのかね。
「こんな事終わらせてノンビリ異世界観光と行きたいもんだな」
「ああ、それは分かる」
基本俺達は戦ってばっかだもんな。
キョウスケの愚痴も分かる。
=ヴァネッサの場合=
「どうもヴァネッサです。パワーローダーの調子はいかがでしょうか?」
「いや……絶好調なんだけどさ、今回の戦いヴァネッサさんあんまり関係ないだろ? その辺どうしてかなと気になってさ」
ヴァネッサはゼレーナがいた2048年の日本でもなく、世紀末世界の存在でもない。
言うなれば第2の並行世界、異世界の住民なのだ。
目的はフォボスと言う巨悪を倒すためである。
それを終えた今、深く関わるのはどうしてだろうかと疑問に思う。
「確かにフォボスは倒されましたが、復興のための資源獲得とかで働かないといけないですし、それに並行世界を跨いだ脅威の探索も任務の一つなのです」
「ゼレーナか」
「それと帝国もです。まさか並行世界の転移技術を持っている上に、平然と侵略戦争を仕掛けるその精神性は驚異の一言です。もう自分達の世界さえよければと言う状況ではないのです」
「耳が痛い話だ」
実際、自分達のところの日本もそうなっているがその事にどれだけの人間が気づいているだろうか。
「なので私としてもこの戦いは最後まで付き合うつもりです――それに個人的にアナタ達の事を気に入ってますし」
「はは、ありがとう」
☆
Side ランシス
アイマスクのような仮面をつけた青い髪の男。
リビルドアーミーのランシス。
世紀末世界では何度か戦った仲だが、まさかこうして肩を並べて戦う状況になるとは思わなかった。
「この世界でもリビルドアーミーは嫌われ者のようだな」
「まあ先任者どもが好き勝手にやりたい放題したみたいだからね」
「こうなるなら何があっても殺しておくべきだった」
「アンタだけの責任じゃねえよ。自衛隊だってヴァイパーズを討ち漏らして一体どれだけの悲劇がこの世界で起きたことか」
特に自衛隊にとってヴァイパーズとは因縁深い相手だ。
そして俺は一度はヴァイパーズに致命的なダメージを与えた――と思っていた。
「ヴァイパーズだが想像以上にリビルドアーミーから援助を受けていたようだ。さらにフォボスとの戦いのドサクサに紛れて流出した装備も多い。更に拠点事この世界に跳ばされて来ているとはな――この一件は何があっても譲らん」
「ああ、任せる」
「しかし奇妙な話だ」
「うん?」
「まさかこうして自衛隊と肩を並べて、それも異なる世界に来て戦う事になるとは――」
どうやら彼も同じことを考えていたようで俺は苦笑した。
☆
Side リオ
「皆と打ち解けているみたいだな」
「うん。ここの人達もなんか実力至上主義? みたいな感じで気に入られちゃってるみたい」
「まあそれもあるんだろうが、この帝国はいわゆる男尊女卑社会でリオはよりかっこよく見えたんじゃないか?」
「男尊女卑ってつもり、女よりも男の方が偉いって考えだよね?」
「ああ」
「私のところの世界はケースバイケースなところがあるけど、一応は男尊女卑なのかな? 政略結婚とかあるし」
「あ~確かに」
法も秩序もないあの世界で自衛隊やリビルドアーミーなどの手が届かない物騒な地域では基本、政略結婚、重婚、一夫多妻制はいまだ常套手段だ。
実際、日本から迷い込んでいた狭山 ヒロト君がそんな感じになっていた。
あの子元気にしているかな?
「キンジはお嫁さん沢山の方が良い?」
「リオ一人でいい」
俺は即答した。
「それはそれでちょっと寂しいかも」
「そう返されるとなんだかなぁ……他にもいて欲しいの?」
「うん……子育てとか家事とかって大変って聞くから、不安になる時があるの」
「まあ俺も自衛隊だ。その辺は俺も手伝うよ」
「う、うん」
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