第五話「戦闘開始」

Side ヴァイパーズのとある人間


 このグレイヴフィールドに美味しそうなカモの集団(自衛隊)が現れた。


 これを逃す手はないと俺達は大慌てで装備を調えて襲撃計画を実行した。


 武器はともかく、水や食料、資源などが沢山あると考えるとヨダレが出ちまいそうだ。


 俺達は五百人程のグループで深夜に襲撃することを決めた。


 武装車両やパワーローダー、戦闘ロボなども導入している。


 どこから来た連中かは知らないが、殺して奪い取って、しばらくは好き放題出来るほどの宝が眠っている。


 何人かくたばるだろうが取り分が増えるだけだ。


 ああ、女と酒もいりゃいいんだが。

 

 そんな事を考えながら仲間達と夜中に敵の陣地に迫っていると――


 空から何かが迫ってきた。


 大きい。


 見た事もない乗り物だ。


 だが敵だろう。


 いい資源になりそうだと思いながら銃やレーザー、プラズマガンを発射する。


 相手は武装を積んでいない。


 ただこっちを見ているだけ。


 何がしたいんだと思ったその時、遠くで砲撃音。

 遅れて他のグループがいた辺りで大爆発が起きた。


 それが二度続いて敵の攻撃だと何となく分かった。 


 楽な仕事だと思ったのに!!


 俺達は先を急いだ。



 Side 緋田 キンジ


 戦闘は深夜に開始された。


 複数の方向から小隊規模(約五十人)。


 総勢でおよそ一個大隊規模(約五百人)の敵が包囲してきた。


 パワーローダーや武装車両、戦闘ロボットの姿まで確認出来ている。


 敵の火力と突破力が凄まじいが今回は此方もパワーローダーや各種重火器で武装している。


 俺はドラン。


 キョウスケはドランベースでジャンク品を継ぎ接ぎしたようなパワーローダーを身に纏っていた。


 観測ヘリを通しての特科(砲兵部隊)、機甲科(戦車などの部隊)で四グループは潰せた。


 それでもまだ約300の部隊が迫っていて白兵戦に突入。


 戦車や装甲車の装甲では実体弾は耐えられてもプラズマやレーザー、ビームなどの武器に耐えられないので独自の判断で乗員に退避許可を出している。


 それでも戦車や装甲車、ヘリが何台か潰されたりしたが。


 リオ達は他の場所へ。


 おれたち、第十三偵察隊に割り当てられた場所――正門付近の陣地。

 そこで敵を迎撃する事になった。


 一番激しい場所だ。

 

 戦車も戦闘ヘリも破壊されたが相手の武装車両も破壊されている。

 正直被害と戦果が割りに合わないがそんなの知ったこっちゃない。


 敵のパワーローダーや歩兵部隊と激しい銃撃戦になっている。


 その銃撃戦を物ともせずに敵のロボットが突撃してくる。


 人型のアサルトタイプ。

 両腕にレーザーやブレードなどを搭載した様々な機種が存在する。


 四脚のセントリータイプ。

 両腕がミニガンだったりロケット砲だったり。

 背中にキャノン砲やミサイルランチャーを積んでいたりと様々だ。


 浮遊型のドローンタイプ。

 武装はそれ程でもないがそれでも数が多い。


 この三つだ。

 独自のAIも内蔵しているらしく何か喋っているが今は気にしている暇はない。


 とにかくシールドで身を隠しながらレーザーライフルで次々と狙撃していく。

 正直恐いがそれは皆も同じだ。

 なけなしの勇気を奮い立たせて必死に応戦する。


 キョウスケはミニガンで弾幕を張り、他の隊員はルーキー含めて果敢に攻め立てていた。


『あのクソ上司(佐伯 麗子)、ハズレ引かせやがったな!!』


『この土地に来た時点でアタリもハズレもないだろ!! いいから攻撃に集中しろ!!』


 と、俺は愚痴垂れるキョウスケに檄を飛ばす。

 敵の集中砲火が凄まじい。

 シールドもドロドロに溶けて言っている。


 パワーローダーはロボットアニメみたいなアクションをきめて戦うのが基本みたいだが俺やキョウスケの腕じゃまだ無理だがそうも言ってられない。


 このままじゃシールドと運命を供にする事になる。

 

 俺はアサルトタイプのロボットを破壊して覚悟を決める。



 Side リオ


 私が正門に来た時。


 見たのはドランが空中を飛翔し、地上を駆け回る姿だった。


 それに続くように継ぎ接ぎのジャンク型のドランが地上統べるように移動しながら戦い始めた。


 その口径に少しばかり目を奪われたがともかく私は私のするべき事をやる。


 敵の数が多く、手強い。


 ヴァイパーズの中でも上位の連中が来ているのだろう。


 パンサーも腕利きだがこの分だと時間が掛かる。


 とにかく援護をしないと。


 地上を滑走し、二丁のビームピストルで敵のロボットや兵士に向ける。


 敵も当然応射してくるが横っ飛びで簡単に避けられる。


 もう何度も繰り返した動作。


 味方の援護もよい。


 恐れる要素はない。


 それよりも味方の――ヒダ キンジとムナカタ キョウスケのパワーローダーの動きを見て興奮している。


 私はパワーローダーが好きだ。

  

 色んなパワーローダー乗りを見てきたけど初めてであそこまで動かせるのは驚きだった。


 まだぎこちなさがあるけど、どんどんそれも解消されて行っているように見える。



 Side 緋田 キンジ 


 リオの援護も加わってどんどん数が減っていく。

 キョウスケも慣れてきたのか敵を勢いよく撃破して行っていた。

 

 俺もロボットアニメの真似して動いて戦っていたら、敵も嘘のように減らせていけた。


『なんだよ!? なんなんだよお前らは!?』


 敵のパワーローダー。

 ドランがそんな事を言っている。

 其方から仕掛けておいてまるで被害者みたいな態度だ。


 俺は相手の攻撃を引きつけ、滑るように回避して敵の左横に回りこう返した。

 

『俺達はただの自衛隊だ!!』


 と、レーザーライフルを至近距離で連射。

 装甲が融解し、貫かれて爆発する。

 

 敵が後退していき――


 そして――


『緊急警報!! 大型の生物が其方に接近してきている!!』


 このタイミングで新手。

 襲撃者であるヴァイパーズの生き残りを食い散らかしながらそいつは現れた。


 四足歩行の巨体。

 庭付きの二階建て住宅に匹敵する大きさ。


 三つの頭部でその三つがサメ。


 B級映画から這い出てきたような怪物が目の前に現れたのである。


  

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