第六話「サメべロス襲来」
Side 緋田 キンジ
前回までのあらすじ。
パワーローダー身に纏って野盗相手に調子扱いてたら頭が三つあって四足歩行するサメの化け物が現れました。
以上、終わり。
☆
三つ頭のサメの化け物が口から光線を吐いて残っていた戦闘ロボットを焼き尽くし、大きな両足の爪で野盗連中を引き裂いていく。
B級映画のような現実感のない光景だがこの世界では紛れもなく現実だ。
戦車や戦闘ヘリが照準を向けるが――
『素早い!?』
二階建ての一件家ぐらいの大きさの癖に素早い。
縦横無尽に駆け抜けながら光線を吐き散らす。
光線に巻き込まれて自分達の戦車や戦闘ヘリに光線が直撃して爆散した。
あの様子だと乗員は即死だろう。
『ダメだ!! 素早すぎて戦車やヘリじゃ狙いがつけられない!!』
キョウスケの言う通りだ。
戦車や戦闘ヘリだけでなく一般兵の攻撃も当たらない。
回避するので手一杯だ。
このままでは何れ犠牲者が出る。
だからここは――
『どうにかして動きを止める!!』
俺はドランの出力を信じて、ブーストを噴かしてサメの化け物に食らいつく。
リオも同じ考えだったようでパワーローダーを全開まで吹かして食らいついた。
キョウスケも性能で明らかに劣るだろうにブーストを全力で噴かして攻撃を加え続ける。
(正直恐いが・・・・・・)
巨大なサメの化け物相手の戦いは恐い。
どうしてこんなヒーローの役割をしてんだろう俺は。
この世界との門が開いてからそんな役回りばっかりだ。
泣き出したい気持ちを堪えながらも必死に張り付く。
三つの頭から吐き出される光線の射角には限界があり、どうやら後ろには無理みたいだ。
それでも百八十度を超える射角に飛び込み縦横無尽に動き回る四つ脚の巨大な生物に近付くのは凄い度胸がいる。
だが女の子だって、命の恩人だって頑張ってるんだ。
日本だとまだ女子高生で将来なんてボンヤリとしか考えたことも無さそうな年齢の子がだ。
ここらでいいところ見せたいじゃないか。
(ダメージは与えちゃいるが――本当に効いてるのかこのサメ!? 皮膚何で出来てるんだ!? あれか!? ゴジ○的な何かなのか!?)
リオがビームピストルを。
俺がレーザーライフルを。
キョウスケがミニガンで攻撃を加えてはいる。
自分達をうっとおしく感じているのかサメの化け物が身体を動かしてあの手この手で払い除けようとしてくる。
徐々にだが速度が落ちてきている。
『今だ、三人とも離れろ!!』
拡声器で佐伯 麗子の声が聞こえた。
同時に――空間を抉る程の何かがサメの化け物を貫いた。
左脚の前後が抉られる。
『レールガンか!?』
試し打ちで見た事がある。
レールガン。
この世界の兵器だ。
確か手持ち式のサイズの奴があった。
破壊力があり過ぎるので流石に封印していたが。
あのクソ上司が取り出したのだろう。
タマには役に立つな。
『気を付けろ! まだ生きてるぞ!』
『!?』
地面に倒れ伏したサメが光線を吐き散らす。
大慌てで俺達は一旦離れた。
そこへ戦闘ヘリや戦車部隊がトドメの攻撃を出す。
戦車の砲弾が。
戦闘ヘリのミサイルが。
惜しげも無く次々とサメの化け物に撃ち込まれていった。
煙が立ちこめ、晴れた後には死体に変わったサメの化け物が横たわっていた。
リオは念のためにビームピストルを頭部に撃ち込んでいたので俺もそれに習い、念のため『もう一発レールガン撃ち込んでくれ』と発射要請をしておいた。
長い戦いは終わった。
犠牲者も出たが勝利は勝利だ。
この後戦後処理は大変だろうが一先ず今日を乗り切れた事を喜ぼう。
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