未確認武装勢力掃討作戦
第四十一話「謎の敵」
Side 緋田 キンジ
休暇を切り上げ、俺達は日本に突如として現れた謎の敵をどうするかについて考えた。
自衛隊はなんだかんだで軍事組織であり、任務として言い渡されたら「イヤです。ごめんなさい」は通用しない組織だ。
謎の敵の正体についてヴァネッサに尋ねた方が良いのか迷いつつもそのまま対策本部が設置された自衛隊の陣地に入り込んだ。
陣地の位置は敵の戦力を考えれば至近距離だが市民への配慮などもあり、出来る限り遠くに、それでいて人気のない場所に設置している。
周囲はマスコミや市民団体の影もあり、警察が押さえ込んでいる。
あとは他国の工作員や野次馬とかだろう。
陣地の周囲には戦車や装甲車など置いていれば素人でもただ事ではないと気付く。
内部には天幕が立ち並び、居並ぶ兵士達はみな緊張した様子だった。
その陣地で謎の女、Xや佐伯 麗子、第13偵察隊の面々などと合流。
そして陣地の纏め役である、小林一佐と顔を合わせた。
「君達があの世界の地獄を生き抜いたエース部隊か。よく来てくれた」
その言葉を聞いてキョウスケが――
「おい、俺達どんな風に説明されてんだ」
と言うので俺は「説明の通りなんだろう。きっと」と返しておいた。
「小林一佐。状況は?」
「最悪だ。他国の工作員はしゃしゃり出たようだが壊滅したと見て良いだろう。マスコミのヘリも撃墜された。様子を見る限り即死だろうな」
(工作員もマスコミも運が悪かったな)
そう思い、今回の騒動を詳しく知っているヴァネッサの方に目を配るが相変わらずの営業スマイルだ。
「偵察部隊を派遣しようにも敵のテクノロジーとの差を考えると発見して全滅する可能性が高い。被害覚悟でドローンを飛ばしてどうにか情報収集をしている」
「賢明な判断です。小林一佐」
パワーローダーのセンサーとパワーローダー専用武器の射程範囲は想像以上に広い。
2、3キロ先は楽勝で攻撃範囲に収まるだろう。
武装によればそれ以上先も射程範囲だ。
センサーの性能もそれ相応だ。
生身で偵察をするのは自殺行為である。
「敵は鉄道トンネル内部に潜んでいる。数は確認出来た範囲で既に五十体近くはいる」
「「五十体!?」」
完全武装のパワーローダーの五十体は生身の完全武装の歩兵の五十人とはワケが違う。
その気になればこんな陣地にあっと言う間に壊滅する。
パワーローダーとその専用武装の前では現代の戦車や装甲車も戦闘ヘリも棺桶同然だ。
「急いで戦闘準備だ! 相手がその気になればこの陣地の戦力程度じゃ一溜まりもないぞ!」
俺は指示を飛ばした。
敵の目的は不明だが今襲い掛かられたら一溜まりもない。
陣地もろとも吹き飛ばされる可能性がある。
小林一佐は少し驚いた様子を見せたが「どうやら噂通りのようだ」と不敵な笑みを浮かべていた。
「警報!? このタイミングで!?」
運が良いのか悪いのか警報が発令。
爆発音と銃撃音が鳴り響く。
☆
佐伯 麗子の先導の元、陣地後方のトレーラーに案内された。
「せいぜいくたばらないでくださいよ、佐伯一尉」
「そちらこそな、緋田二尉」
そう言って俺達はパワーローダーに乗り込む。
『キンジ? 大丈夫?』
『リオか』
パワーローダー、ゲイルを身に纏ったリオが待機していた。
パメラの作業用のワークローダーを身に纏とい、パンサーはジェネを身に纏っていた。
『やっぱりウチらがついてないと心配だね、お兄さんがた』
パンサーの言葉に
『返す言葉もないな。正直不安で仕方なかった』
と、俺は正直に答えた。
『もっと私を頼っていいから――』
リオにもそう言われた。
『お嬢さん方、言いたい事は山程あるだろうが敵襲だ』
キョウスケが話を強制的に終わらせる。
『味方の陣地で白兵戦になるなこれは・・・・・・出来る限り接近戦で仕留めていくいかない』
パワーローダーの火力は高い。
装甲車や戦闘ヘリ、武装によれば戦車すら破壊できるほどに。
味方の陣地で、更には陣地の周囲に民間人すらいる状況で乱射するには危険すぎる。
『俺は役立たずだな――』
キョウスケのパワーローダー、バレルは砲撃型。
中距離~遠距離型でご自慢の両肩に背負った二門の大砲は役立たずだ。
陣地に被害が出る。
パンサーも戦い方が中距離~遠距離タイプなので心配だ。
リオはビームではあるが二丁拳銃による戦いだし彼女の腕なら大丈夫だろう。
『おいでなすった!!』
キョウスケの言う通り敵が来る。
黒い三つ目のパワーローダーが複数。
手には大きな銃器を持っていた。
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