第四話「多元世界ユナイティアその2」
Side 緋田 キンジ
なんか色々と理由付けて、自衛隊とユナイティアの交流は俺達に任された。
やはりあの時――リビルドアーミーとの交渉の失敗を根に持ってやがるな。(第一部、第二十三話「思想の対価」参照)
つまり自衛隊に全部丸投げして後は美味しいところを自分達で総取り作戦である。
なんだかんだで上手くいってるからなこれで。
まあ途中まではと言う枕詞がつくが。
温室育ちの平和ボケしたお坊ちゃま連中とバリバリ武道派の連中とでは話が合うわけがないのだ。
だから外務省、政治家がミスをして自衛隊がそのフォローをしていると言う構図が当たり前になっている。
大丈夫かウチの国?
戦争に勝って政治外交で勝手に自滅してる感がある。
まあそれはともかくだ。
ユナイティアを案内される事になった。
ユナイティアは様々な種族、勢力が存在しており、地域によって特色がガラリと変わる。
平和な地域もあれば彼女達のような強力な装備を持っていても危険地帯と言わしめる場所もあるそうだ。
一先ずはディメイションクロスの本部に案内される事になった。
☆
ゲートの向こう側は早速拠点構築がはじまっていた。
構築中の守りを固めるべく、地上ではレールガンタンクやレーザーガトリング対空迎撃車両が配備。
さらにパワーローダーを身に纏った兵士やロボット兵士部隊が哨戒任務についている。
空中では各種ヘリに交じって空戦型のパワーローダーにアルバトロス空中管制輸送機が空中から警戒して回っている。
イージスシステムも同時進行で構築中だ。
今回は町の廃墟の中なので周辺のビルを爆破、解体して面積を確保する必要も出てくるなど、大掛かりな物になりそうだと言っていた。
移動にはピンク色のマザーバードクラス(プレラーティ博士が直接指定座標に転移させてきた)を使用し、佐伯 麗子 三佐やヴァネッサ、公安の謎の女Xも同伴である。
人員は大体一個分隊ちょい。
武器弾薬や生活必需品、食料なども出来うる限り詰め込んでいく。
これで準備万端である。
☆
「と言うか他のメンバーは?」
マザーバード内部での移動中、ふとルーナにその事を尋ねた。
戦闘終了後にいなくなったルーナの同僚たちの事が気になったのだ。
「ユナイティアは現在慌ただしい状態なんですよ。アジア連だけでなく、元から存在した脅威や新たな脅威までもがこの世界にやってきて――」
(ゼレーナとかフォボスみたいなのがいるんじゃねえだろうな……)
特にゼレーナはその生態からいても不思議ではない存在だ。
2048年の日本からAliceの少女達を連れてくるべきだったかと今更ながら後悔する。
「……色々考えても仕方ねえか。大方上の方でゲートを閉じるか開いた状態にするかで悩むんだろうけど、これまでのパターンだと、この世界で厄介ごとに巻き込まれてそれどころじゃなくなるんだよな」
「そ、そうなんですか?」
「世紀末の世界の時は最終的にフォボスを倒すためにゲートを開いておく必要があったからな。もう一つの異世界に関してはバハムス帝国が俺達の国の首都に直接攻撃するつもりだったから――それを考えるとやはり調査が必要だな」
アジア連の軍事力はともかく科学力はまだ未知数な部分が多い。
それにゲートに関しても謎な点が多く、もしもアジア連の勢力の近くに自分達の日本に繋がるゲートが出現したらそれこそ大問題だ。
どの道アジア連との戦いは避けようはない。
「何の話をしてるの?」
すると高飛 翔子がやって来た。
「この世界でどうするかについて色々と話をしていたの」
ルーナは言うが――
「自衛隊なんでしょ? ゲートを閉めるか閉めないかの話になるんじゃない? もしくはゲートはそのままに私達の事情に積極的に介入しないかとか」
と、自衛隊がここでするべき模範解答を述べる高飛 翔子。
実戦に揉まれただけあってか、普通の女学生ではないようだ。
「警報ー!?」
赤いランプと騒がしく警報が鳴り響く。
敵襲の合図だ。
「一体何が!?」
「君達はあのスーツを身に纏え!! 俺はパワーローダーを装着する!!」
「分かりました!!」
一体何が起きたんだ?
パワーローダーを身に纏い、マザーバードのブリッジへ通信を繋いで事情の説明を受ける。
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