第五話「プルミア村での戦い」
Side 緋田 キンジ
襲撃その物は何となく想定していたが相手は想定外の連中だった。
グリーンカラーに蛇のエンブレム。
マジックメイルではなく武装車両に戦闘ロボット、そしてパワーローダーの群れ。
そいつらを見間違える筈もない。
「どうしてヴァイパーズがこの世界にいんだよ!?」
ヴァイパーズ。
世紀末世界から個人的にも自衛隊にとってもの因縁の相手だ。
組織を纏めていた奴を倒して、残りは残党化したが――どうして別の世界跨いでこの世界で活動しているのだ。
いや、それよりも――
(この村の戦力じゃ歯が立たない!!)
この世界の軍隊とやり合ったから分かる。
村の戦力はせいぜいマジックメイルは片手の指で数える程しかない。
それも軍用かどうかも怪しい機種だ。
既に防衛線が突破されて村の中を好き放題に暴れ回っている。
そこにキョウスケたちがパワーローダーを身に纏い、トレーラーもろとも乗り込んできた。
『こいつらの相手は俺達に任せな!! すぐに着替えてこい』
「助かる!!」
俺はパワーローダーバレルを身に纏ったキョウスケにそう言い、リオ達を引き連れトレーラーに走った。
とにかく状況が状況だ。
放置すれば秒単位で数人、人が死ぬ。
急いでトレーラーの中に入り、フェンサーを身に纏って武器を取る。
『どうしてジエイタイの連中がこの世界に!?』
『ひ、怯むな! 数で押し潰せ!』
敵も俺達、自衛隊がいる事に戸惑っているようだ。
あの様子だと前の異世界で痛い目を見た感じだ。
『パメラはこの事を自衛隊基地に連絡してくれ! 最悪増援要請だ!』
『分かったわ!』
パメラに指示を飛ばして戦闘に入る。
『ヒッ!?』
『は、はや!?』
一気に至近距離まで近づき、敵の顔面を殴り飛ばす。
核融合炉搭載のパワーローダーが全力で殴れば相手の顔面を粉砕するなど造作もない。
例え同じパワーローダーだとしても、相手の頭部が千切れ飛ばずともヘルメット越しに相手の顔面を粉砕する事は可能だ。
その凄惨な光景にたじろいだもう一機をリオが正確に撃ち抜く。
『自分達の使う火器は強力だ! 下手にぶっ放すと周囲に被害が出る事を忘れるな!』
と、指示を飛ばす。
パワーローダーの火器は最低でも12・7mm弾クラス。
そんな物を好き放題にぶっ放せば守るべき対象である村が戦いの余波で廃墟になる。
だから慎重にならざるおえなかった。
出来れば接近戦で確実に仕留めていきたい。
キョウスケのバレルのような機種はこう言う局面では不利だ。
背中の二門の大砲の火力が周囲の被害を考えた場合、逆に足枷になってしまう。
『つまりこう言うことだろう!?』
『ガハッ!?』
だがキョウスケも、パワーローダーでの戦いは慣れたもんであり、接近戦に持ち込んで相手のパワーローダーの顔面を殴り飛ばす。
他の隊員も同じで拳やビームサーベルなどで白兵戦を挑んで敵を蹴散らしていく。
伊達に世界を救ったワケではないのだ、俺達は。
『おー皆やるじゃん、私も負けてらんないね』
パンサーもリズムよく的確な射撃で次々と敵を屠っていく。
建造物への被害を抑えながら戦うと言うオーダーもキチンとこなしてだ。
『私もキンジの期待に応えてみせる!』
リオもライフル2丁持ちで上空から次々と射貫いていく。
彼女やパンサーだけハリウッドのアクション映画のヒーローのようであった。
あっと言う間にヴァイパーズは数を減らしていき、全滅も時間の問題だった。
『なんだこいつは!?』
『ヒィイイイイ!!』
忘れていたがここはあの荒廃世界ではない。
別の異世界である。
――グルォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
全高約20m(尻尾部分含む)はあろうかと言う緑色のドラゴンがやって来たのだ。
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