第十四話「防衛計画」

 Side 緋田 キンジ


 俺達は敵襲に備えて準備をしていた。


 夜襲の可能性は十分にありえるからだ。


 そんな時に防衛隊の隊長のキーツさんが部下を引き連れてマイアさん(町の代表者から)貸し出された大きなガレージに訪ねてきた。


 名はキーツさん。

 初老の老兵と言った感じでヨレヨレの軍服を着こなし、自分達を疑っているのか「本当におぬしら、この町を守るために戦うのか?」と尋ねてきた。


「そうですがなにか問題が?」


「はっきり言うぞ。リビルドアーミーのスパイかなにかかお前ら?」


「はあ?」


「騎士団にしては装備も身嗜みも良すぎる。それになんの報酬もなく物を配って懐柔していくやり方が気に食わん」


「そう言われましても・・・・・・」


 さて。

 どう答えたもんか。

 自衛隊はアンチ・自衛隊と長年に渡り非暴力と対話を続けてきた。

 

 反自衛隊な人間は駐屯地の行事などでも必ずと言っていいほど現れる。

 現れなかったら奇跡だ。

 時には自衛隊でもないのに自衛隊の心構えを説くプロ市民ならぬプロ自衛官なども現れる始末。

 

 とりあえず、相手の意見を聞くことにした。


「もしも裏切ってみろ。その頭に鉛玉を撃ち込むぞ」


「は、はあ・・・・・・」


「御主等プライドと言う物がないのか?」


「自分達、自衛隊はシップタウンを守るように命令を受けています。シップタウンの市民達に危害を加えるような真似はいたしません」


 と、カッコイイ自衛官を無理して演じて返事をしてみた。

 似合わないのは分かってるから皆も笑わないでくれ。


「ふん、口先だけではどうとでも言える。精々無様を晒さんようにな」


 そう言い残してキーツさんは立ち去っていった。


「まあ言ってる事はある程度、筋は通ってるよな」


「私達余所者だし」


「タダより高い物はないって言う世界観だしアレが普通なんだろう」


 などと言った感じでみなキーツさんには不思議と好意的な感情を寄せていた。

 と言うか今迄が上手く行きすぎていたとも言える。

 

 そしてキョウスケが近付いて来てこう言う。


「では緋田隊長殿。立派な自衛官としてどのような防衛計画をたてるお積もりですかな?」


 などと悪ノリして笑いが起きる。

 まあ暗い雰囲気で戦うよりかはいいかとコメディアンな役割を演じることにした。

 

 

 防衛計画であるがこれが難航した。


 このシップタウンには東西南北にゲートがあり、その何処を攻めるか分からない。


 最悪内部での白兵戦すら想定しなければならない。


 幸いなのは観測班としてシップタウンのランドマークである陸上戦艦に配置出来たことだろうか。


 更にはパメラやリオ、パンサーなどを通して協力者を彼方此方に戦闘態勢で配置した。(自衛隊としては市民を戦いに参加させるのは本来アウトだが・・・・・・)


 水や食料で懐柔した形になり、またキーツさんに愚痴られるが死んだら愚痴も聞けやしないと割り切ることにした。


 こうして着々と防衛体制が敷かれていく。

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