=幕間:トレーダーのアネット=
Side リオ
私は別のトレーダーグループのアネットと話し込んでいた。
もっぱら話題はグレイヴフィールドに現れた新たな勢力、ジエイタイのことだ。
アネットは私達と同い年ぐらいで女性グループを私達よりも多く纏めている。
服装も黒いミニスカの長袖の衣装で茶色いロングブーツ。
頭も真っ黒な軍帽を被っている。
長い金髪でどこか育ちの良いお姫様然としていて羨ましかった。
後ろでは専用の大型トレーラーにアネットのグループ達がジエイタイから配られた水を飲んで大はしゃぎしていた。
「ふーん、あの方達はジエイタイと言うんですね」
と、言いつつ照れくさそうに500mlのペットボトルの美味しい水と銘打たれた飲料水を大切に飲んでいた。
ジエイタイから貰った情報料代わりにもらった大切な水である。
「うん。町と関わりを持ちたいらしいから案内している」
「信用できますの?」
「ヴァイパーズや野盗相手に戦ったりしてるからその辺は大丈夫だと思う」
「つまり、今の段階では敵ではないと――」
「遠からずウチにリビルドアーミーが接触してくると思うしそこで最終的に判断出来ると思う」
「アーミーの連中、騎士団とぶつかる事になるかと思いましたが――どうなるか分かりませんね」
騎士団。
鋼鉄の騎士団とも言う。
この世界の勢力の一つ。
言ってしまえば自警団だ。
リビルドアーミーとは違い、此方は住民達に好かれているのが最大の特徴だろうか。
「その前に先ずは町に案内してみる。依頼もあるしね」
町――シップタウンを見たらたジエイタイの人達はどう思うだろうかとちょっと気になった。
「これからどうするの?」
「たぶんここのトレーダーやキャラバンはジエイタイに接触したいと言う人は大勢出ると思いますわ。あの方達、リビルドアーミーよりお人好しそうですし・・・・・・違う世界から来たと言う話も信じてもいい気がしますわ」
と、呆れたように溜息をついた。
パメラと同じような事を言っている。
この世界は残酷だ。
お人好しほどバカを見る世界なのだ。
これからジエイタイの元に人の良さにつけ込んであれこれ企む人間が大勢押し寄せるだろうが、そこはジエイタイを信じるしかないだろう。
幸いにして彼達は勉強熱心だ。
この世界の事や私達の事を頑張って知ろうとしている。
そして酷い目に遭いながらも彼達はお人好しだった。
だからジエイタイの事を信じてもいい。
私はそう思っていた。
パメラにはまた呆れられそうだが。
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