第二十一話「世紀末の懐かしい奴」

 Side 緋田 キンジ


 ゲートを通して2048年の日本からバハムス帝国の領土に戻った俺達。


 そこで待ち受けていたのかのように襲撃を受ける。


 丁度見送りに来ていた日本軍の人達も巻き込んでだ。


 相手は――


『クソっ!? ヴァイパーズの連中か!?』


 と、俺は毒つく。


『リビルドアーミーとマジックメイルの連中もいるぞ!?』


 キョウスケがそう指摘する。

 ヴァイパーズがいるのならリビルドアーミーの連中もいるのも不思議でない。


 そもそもヴァイパーズはリビルドアーミーの手駒として支援を受けていた武装勢力である。

 手を組んだとしても不思議ではない。


 問題はマジックメイルだ。


『まさか、帝国と組んだと言うんですか!?』


 エリオットが悲鳴のような叫びをあげる。

 正直最悪だ。

 だが良い事もある。


『ここはプラスに考えようぜ、倒すべき相手を纏めて叩き潰せるってな!!』


『はっ!! 血の気が多いな今日の隊長!!』と、キョウスケに言われる。

 

『言ってろ! どの道こいつらを討ち漏らせば罪のない民間人に被害が出る!! 全部倒していくぞ!!』


 それを聞いてキョウスケは『無茶なオーダーを――聞いたな野郎ども!? 腹を括れ!!』と鼓舞をする。


『私達も頑張るよ、パンサー!!』


『うん!! マジックメイルともども叩き潰してやるじゃんよ!!』


 リオに続いてパンサーもパワーローダーで飛び込む。

 息の合ったコンビネーションで次々と、競い合うように敵を撃破していく。

 

『続くぞキョウスケ!!』


『あいよ大将!!』


 俺も負けじとリオとパンサーに続く。



 Side 石崎大尉

 

『分かっていたが凄い――』


『これが自衛隊の力なのか――』


 緋田 キンジ一尉達と応戦しながら自衛隊の戦いぶりに目をやる。


 見慣れぬ敵が混じっているがやはり緋田一尉達の戦いぶりは凄い。


 まるで競ってるかのように撃墜スコアを稼いでいる。


 同伴してきたAliceの少女は″初めて″の対人戦と言う事もあり、動きがぎこちなかった。


 緋田一尉達の入れ替わりで来た他の自衛隊の部隊も合流をはじめ、形勢は徐々に覆されて行っている。


 恐ろしさも感じるが頼もしさの気持ちが勝っていた。



 Side 緋田 キンジ


『見た事ある奴が混じってるな――』


『ああ、あいつは確か――』


 緑色のカニのようなヴァイパーズの兵器。

 あの世紀末世界のシップタウンで戦った奴だ。 

 

『まさかこんなところで会うとはな!!』


 ヴァイパーズのクラーベが怒り交じりに攻撃してくる。



 ヴァイパーズのクラーベとの因縁は、まだ世紀末世界で活動していた頃に遡る。


 俺達の地球でフォボスの先遣隊と一戦を交え、再度世紀末世界に帰還し、自衛隊の方針がリビルドアーミーやフォボスと決着をつける前にヴァイパーズとケリをつけると言う形になった。


 そして俺達は一度、シップタウンに立ち寄ってみるとヴァイパーズの急襲を受けていた。


 一度は退けるも二度の戦いで俺達は苦戦を強いられる事になる。


 その二度目の戦いで出会ったのがクラーベだ。


 その時から緑色のカニ型のマシンに乗っていてとても手強かった。


 正直ヴァネッサが新型機を持って来なかったら危なかったと思う。


 *詳しくは第一部、第五十一話「再強襲」を参照



 ヴァイパーズは壊滅し、てっきりコイツは何処かで野垂れ死んでいたかと思ったがまさか異世界で再会するとは思わなかった。


 あの時と同じくフェンサーであり、クラーベも大型のカニ型マシンに乗っている。


『クソ!! 何故押し切れん!?』


 クラーベは苦戦している事が意外なのかそう漏らした。


『あの時とは条件が違うんだよ』


 あの頃から俺達のパワーローダーの相乗技術も向上している。

  

 さらに日本軍やマジックメイルの部隊、ウチのパワーアップした自衛隊の部隊もいるのだ。


 前回は危なかったが今回は危ない橋を渡らずに済みそうだ。


 対して相手は所詮、上級野盗連中。

 

 リビルドアーミーも残党化して練度が低下し、ヴァイパーズと連携をとるどころか捨て駒のように扱っている。


 バハムス帝国の部隊は両者を捨て駒のように扱っている。


 これでは勝てる戦いも勝てはしないだろう。

 

 ドンドンと敵の数は減っていき、クラーベは少なくなったヴァイパーズやリビルドアーミーと一緒に何処かへ去って行った。

 

 マジックメイル達も引き上げていく。


『さてと――とんでもない見送り回になったな』


 と、石崎大尉に声をかける。


『いえ、こうしてまた共に戦えて光栄でした。我々は我々なりにこの世界の調査を進めます。ご武運を――』


『ああ――』


 そして俺達は反乱軍の拠点を目指して進む事にした。

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