第五十九話「基地攻略戦その2」
Side 緋田 キンジ
他の進行部隊が想定外のトラブルに出くわしたらしいが作戦は続行。
俺達はヴァイパーズの軍事基地に進行を仕掛ける。
砲台やセントリーロボット、ドローンなどは破壊されており、抵抗らしい抵抗はないまま進行する。
『注意してください。この手の軍事基地は地下ドッグを備えていて、恐らくそこにまだ戦力が温存されている可能性があります。最悪撤退して再度砲撃を行う事も選択肢の一つですよ』
との事だ。
上に伝えて砲撃準備をするように伝えておいた。
『こちらアルバトロス(佐伯 麗子 一尉)。上から様子を探っているが敵の部隊が見えない。撤退をしている人影も見えない。恐らくヴァネッサ氏の意見が正解だろう』
補足するように上空にいる佐伯が言ってきた。
『つまり地下ドッグを制圧しないといけないのか――』
敵が立て籠もる地下ドッグの制圧。
考えただけでも気が滅入る。
そうして敵の基地までたどり着いた。
ヴァネッサや佐伯から事前に地下へと通じる通路やエレベーターなどのおおよその位置がついている。
警戒しながら周囲を見守る。
『こちらスカウト。敵影無し』
『こちらハンター。敵影見当たらず』
遠くから敵基地を見張っているスカウト、ハンターのパワーローダー部隊も敵影が見当たらないようだ。
直接乗り込むしかないらしい。
『ソナー(音源)やサーモ(熱源)センサーに反応!! 敵基地から敵部隊が一斉に出現するぞ!! 離れろ!!』
と、思った矢先に佐伯が注意を飛ばす。
自分達だけなら離脱は簡単だが味方部隊もいるのでそう簡単には離脱できない。
『俺達が惹きつける!! 他の部隊は一旦後退しろ!!』
『了解!! ご武運を!!』
そうして地下から這い出てきた敵部隊を次々と攻撃する。
無人機や有人機。
基地の内外の彼方此方から敵が出てくる。
それでも味方部隊は敵を撃破しながら後退していく。
スカウトやハンター部隊、ヘリ部隊の援護射撃もいい。
俺はビームアサルトライフルを撃ちながら指示を飛ばす。
『中央部の昇降口から敵が――熱源や音源が大きいぞ!! 注意しろ!!』
佐伯が慌てたように注意を飛ばしてくる。
基地の中央のリフトから現れたのは緑色の巨大な怪物全高10m程の怪物だった。
双胴型の小型の陸上戦艦かと思った。
上半身らしき部分は人型を保っている。
機体後部にはミサイルハッチ。
上半身肩部には三連キャノン砲、大型ミサイルコンテナ。
各部には迎撃用のタレット。
両腕はキャノン砲。
『よくもここまでコケにしてくれたな――』
『通信!?』
その事に驚いた。
発信源はあのデカブツからだ。
『俺はヴァイパー。ヴァイパーズの司令官だ』
『親玉自ら登場か――』
敵の大将も腹を括ったらしい。
『お前らを全員皆殺しにしてから、また成り上がってやる』
『まだお前らやる気なのか!?』
当然の疑問をキョウスケが投げかける。
『世の中は力が全てだ。力がない物は搾取され、ゴミのように死んでいき、力がある奴が世の中を牛耳る事が出来る。そのためなら何度だって立ち上がってやる!!』
『そのために一体どれだけの人間を殺すつもりだ!?』
とんでも理論に思わず叫び返してしまった。
『それがこの世界のどおりだ!!』
『……キンジ、もう話が通じる相手じゃない』
『ああ、そうだな――各員散開!! 生き残る事だけを考えろ!!』
キョウスケが言うように倒すしかないだろう。
戦いの火蓋は敵の一斉放火から始まった。
地面が、大気が揺れる程の一斉者。
そこに残りのヴァイパーズや無人機が襲い掛かってくる。
それを返り討ちしながら後退していく。
随分と距離を離されてしまった。
基地から脱出して砲撃やミサイルで潰すことを考えたが――のデカ物。
ヴァイパーズの司令官や他の敵が味方部隊へ特攻紛いの急速接近している。
アレでは砲撃もミサイルも使えない。
『此方ハンター!! あのデカ物にレールガンが通らない!!』
『どんな装甲してやがんだあの化け物!?』
ハンター部隊もレールガンで狙撃してくれているがレールガンが通用しない。
あの化け物の装甲は常識破りの頑丈さらしい。
『ハンターは他の敵を狙うか、敵の武装の破壊に集中してくれ!! 第13偵察隊はあのデカブツの撃破を考えるな!! 散開、包囲して時間稼ぎに徹しろ!!』
キョウスケの『了解、隊長殿!』を皮切りに部下達から『了解』と返事が返ってくる。
パメラとリオ、ヴァネッサは距離を離して果敢に挑んでいく。
俺も応戦する。
敵は巨体で素早い。
近付きすぎると全高10m程の巨体に跳ね飛ばされるし全身の火器で蜂の巣にされる。
それでも今ここでこいつを倒さなければならない――
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