第二十四話「皇族フィア・バハムスとアルビオン」


 Side フィア・バハムス


 とても短い期間だけど、エリオットの仮面を被ってだけど、緋田さん達との旅は楽しくて、そして色々な人達や考え方、世界のあり様に触れられた。


 同時にこの世界に待ち受ける未来をも知った。


 だから決意した。


 もう逃げない。



 Side 緋田 キンジ


 エリオット――いや、フィア。

 そしてマグナスの両者が空中で激突している。

 

 空中戦でありながら最近になって重要視され始めた近接戦。

 地球ではパワーローダーの普及で再びお目に掛かれるようになったが――ここまでハイレベルの代物じゃない。


 少なくとも俺には無理だ。

 リオやパンサーだってここまでのレベルじゃない。

 

 今の自分には見守るしかなかった――


(なワケには行かねえよな!!)


 すぐさま次の行動に移した。



 Side フィア・バハムス


『まさか噂の皇太子様がここまでやるとはな!!』


『退いてくれ!! もう状況は僕達が考えている以上に複雑なんだ!!』

 

『ふん!! そっちからクーデターを引き起こしておいて言うことか!?』


『だからと言って意思を曲げるわけにもいかない!!』


 本来なら言い返す道理はない。


 だがクーデターその物が間違いだったとは思っていない。

 このままではバハムス帝国はダメな方向に歯止めが効かなくなっていくからだ。


 だけど事態はもうクーデターを成功させればいいとかそんな状況を超えている。

 マグナス将軍はそれを分かって貰えないことが悲しいけど、今は――


『倒してでも意思を押し通す!!』

 

『よく言った!! 坊ちゃん皇太子!!』


 マグナス将軍のイフリートと僕のアルビオンの剣が激しくぶつかり合う。

 確かにマグナス将軍は強い。

 イフリートの性能を最大限にまで引き出している。

 

 そんな相手に優勢に立ち向かえた緋田さんは凄いと思うところがある。


 しかし今は――


『負けるわけにはいかない!!』


 気合一閃。

 マグナスを剣で吹き飛ばす。 


『チィ……引き時か――』


 マグナスは撤退をしようと考えた。

 その時だったから。


(遠くから巨大物体が――まさか空中戦艦!? それにアレは――)


 遠くから空中戦艦が近づいてくる。

 同時に複数のマジックメイル――黒色のマジックメイル達は皇族の親衛隊だ。 

 

 そして中心にいるのは禍々しいデザインのマジックメイル。

 まるで物語に出て来る魔王を象ったようなデザイン。

 大きな大剣。

 本当に同じマジックメイルかと思ってしまう。


『久しいな。フィア・バハムス――我が息子よ』


『父上――』


 父上。


 そして自分が討つべき皇帝陛下。


 グラン・バハムスがその姿を現した。

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