第三十話「決戦前までのカウントダウン」

 Side 緋田 キンジ


 =レギンレイヴ艦内・ブリーフィングルーム=


 ブリーフィングルームに集まり、現在の状況を聞く。

 想像以上にトントン拍子で物事が上手く進み、防衛チームの戦いも散発的な物で特に被害らしい被害はなかった。


「取り合えず状況を纏めるとこうだ」


 と、佐伯 麗子が状況を説明する。


「ドラゴンクロウは事実上消滅。残党が暴れる可能性があるが、その対処はディメンションクロスに任せるしかないだろう」


 佐伯 麗子は「次に――」と解説をアジア連に移す。


「アジア連は現在内乱中で此方側に戦力を割くのが難しい状態だ。それを利用して一先ず休戦条約に持ち込みたいのが普通だが――なにぶん外交チャンネルがないため、暫くは日本政府のお偉方とディメンションクロスの上の方、最悪他の協力勢力とで平和の道を探る形になりそうだ」


 それに皇子であるフィアも頷いた。

 彼もこの世界へのゲートがある以上他人事ではないからだ。


「最後にザイラム軍だが――現在激しい戦闘状態に陥っているらしい。相手はディアボロスの軍勢だ。戦況はザイラム軍が不利で長くは持たないだろうとの事だ」


 そこまで聞いて俺は――


「どの道ザイラム軍にはお伺いしなくちゃならないからな――行くしかないだろう」


 と、決断した。


「賭けになるな――どの道、整備と補給を万全にしたい。その上でディメンションクロスの部隊と合流し、ザイラム軍の方面へと向かう」


 との事だった。



「これが俺達の部隊の新型機か」


 アインブラッド・ガンブラスト。

 見た目その物は依然と変わらない。


「俺のも新型か」

 

 キョウスケも新型だ。

 バレル・レイヴン。

 バレル・リヴァイヴにフライトユニットや大型の火器とシールドをつけたような感じだ。


「私のも新型機になってる」


 リオのゲイル・リヴァイヴもアインブラッドタイプになっていた。

 アインブラッド・ヴィント

 武装やカラーリングそのものはゲイル・リヴァイヴの頃から変わりはないが、性能は桁違いによくなっているそうだ。


「おお、私も新型機!?」


 そしてパンサーのジェネⅢも新型機になっていた。

 漆黒のパワーローダー、レオパルト。

 ジェネⅢの機体コンセプトをそのまま強化、発展させたような外観をしている。

 大きな背中のウイングバインダーや各部についたブースターが特徴的だ。



 機体の慣らし運転がてら模擬戦をしようとしたところで敵襲である。

 相手は――ディアボロスの軍勢、モンスター軍団である。


 と言うか――


『なんでパワーローダーやマジックメイルにゼレーナまで混じってんだ?』


 愚痴りながら迎撃する。

 流石最新鋭気にチューンアップされただけあって嘘のように動作が軽い。

 パワーローダーを身に纏っている感覚がない。

 

 リオもパンサーも全ての潜在能力が解放されたかのように次々と敵を落としていく。

 

 だがそれよりも敵の混成具合振りが気になった。


『恐らくだがディアボロスが生み出したコピーだろう』


 と、谷村君が言う。

 谷村君はアインブラッド・シュバルツセイバーのバインダーブレード二刀流で次々と敵を斬りはらっていく。


 これが本来の谷村君の戦い方なのだろう。


『そんな事まで出来るのか――』


 などと言いながら敵をミサイルやキャノン砲、アサルトライフルで撃ち落としていく。



 戦闘その物は早期に終わったが急速にディアボロスの軍勢による被害が大きくなっているらしい。


 俺達は急いでザイラム軍の出現ゲートへと駆け付けた。 

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