第18話 経緯

 私たちはその後も他のパーティをいくつも攻撃してポイントを稼ぎました。


 具体的には4人パーティを2つと3人パーティを4つ、2人パーティを8つ倒しました。


 まあ、ほとんど私は何もしていないのですが……


 ですが、これで新規の360Pとその前に持っていた60Pを合わせて420Pになりました。


「……順調」


「だな。まあ、そろそろ大規模パーティが動き出すだろうから身を隠す方が良いだろう。ここでやられたら今ある420P全部奪われてしまう」


 私たちはカズさんの指示でとりあえず、身を隠せそうな場所を探して回りました。


「この崖の真ん中あたりの洞窟などはいかがでしょう?」


「ああ、それはダメだ。逃げ場がない」


 私の案はあっさりと却下されてしまいました……


「……カズ兄、ハルお姉ちゃん!誰かこっちに近づいてくる!」


 私たちは近くの茂みに身を隠しました。


「あれは……!」


 私の視線の先に居たのはアヤさん、マサミさん、ユーカさんの3人でした。


 何だか3人とも別れた頃よりもレベルアップしてそうな雰囲気がします。


「どうした?ハル。知り合いか?」


 私はこの時、パーティを追い出された経緯を話すべきか迷いました。でも、今はイベント戦の最中です。長話はできません!


「えっと、はい。知り合いですが、ちょっと今は会いたくないのです……」


 私が俯いているとワカナちゃんがお声をかけてくださいました。


「……ハルお姉ちゃん、何かあったの?」


 私はお二人にパーティを追い出された経緯を話すことに決めました。


 とりあえず、私たちはアヤさんたちに気づかれぬようにそっとその場を離れました。


 近くにあった洞窟の奥で、私はポツリポツリとパーティを追い出された経緯をゆっくりとカズさんとワカナちゃんにお話ししました。


 お二人とも急かすことなく頷きながら聞いてくれたので、落ち着いて話すことが出来ました。


「俺たちと会う前にそんなことがあったのか」


「……ハルお姉ちゃん、大変だったね」


 お二人はそう言って下さった後に、アヤさんとの仲直りを手伝ってくれるとも言ってくださいました。本当に嬉しい言葉でした。


 ホントにカズさんとワカナちゃんのお二人と出会えて良かったです……!


「ハル……?」


 名前を呼ばれて洞窟の入口を見ると、そこにはユーカさんが居らっしゃいました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る