第99話 楽しい誕生日会
テツさんがプレゼントを渡した後、私からもユーカさんにプレゼントを渡しました。
「ハルからは小説か」
「はい、以前一緒に入った本屋さんでユーカさんが立ち止まっておられた本を買ってまいりました」
「ありがとう、この小説の作者さんが好きで、昔からよく読んでいるんだ」
そう言って嬉しそうにユーカさんがプレゼントを受け取ってくれたので、私はホッとしたのでした。
その後、テツさんもまじえて大学での話や、年末年始の帰省の話など、色々なことを話しました。特に、大学のお話ではアヤさんとマサミさんを見かけても話しかけることがなくなったということで、少しだけ盛り上がったりしました。
事実、私やユーカさんはアヤさんとマサミさんのおふたりと顔を合わせても、挨拶もできない空気になっています。
マサミさんは気軽にお声をかけてくださろうとしているのですが、すぐに隣にいるアヤさんの表情を見て、やめてしまわれるのです。
「マサミもアヤの近くにいるが、少し無理をしている風がある。それに、私はハルと過ごすようになってから、アヤにいろいろと動きが制限されていたことに気づくことができた」
「そういえば、ユーカもアヤと一緒にいる時はオレとデートに行くこととかもなかったが、今ならその理由も頷けるって感じだな」
「えっ、おふたりはデートもできずにおられたのですか……!?」
「ああ、そうだ。先月、半年ぶりくらいにユーカとデートしたんだが、本当に吹っ切れたように楽しそうにしていた」
「おい、テツ!何を勝手なことを……!」
ユーカさんがそう言って、赤面した状態でテツさんの背中をポカポカと殴っておられるのは、微笑ましかったです。
ですが、ユーカさんにもそんな制限があったのでしたら、マサミさんもケースケさんとデートしたりできていないのでしょうか……?なにやら、心配になってまいりました……
また、帰省の話では、ユーカさんとテツさんは実家のある神奈川の方へと戻られるとのことでした。
私も1人暮らしをしていますが、実家も同じ大阪府内にあるので比較的帰りやすいです。なので、連休があるたびに実家には顔を出すようにしています。だからといって、正月は帰らないわけではないのですよ?
そのようなリアルでの話をした後、17時にユーカさんの家を出ました。理由はシンプルです!
それは私が夕飯まで一緒に食べるとなると、ユーカさんとテツさんが2人きりで話したりする時間がなくなってしまいます!
ここはおじゃま虫は退散するに限るのですよ!
……そんなことを勝手に思いながら、私は家路についたのでした。
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