第33話 新メンバーとの決闘
ワカナちゃんから友達をパーティに入れてもよいのかどうかを話し合った2日後。
「俺がコーイチだ。よろしくな!」
もの凄く軽いノリであいさつをされるコーイチさん。そんなコーイチさんのアバターは虎の耳と尻尾。そして、腰元まで届く金髪が特徴です。
SdnG歴は長い私たちですが、累計ステータス値では負けてしまっているので、なにやら上下関係がややこしくなってしまっているのです。
実際、カズさんがパーティのリーダーなのですが、コーイチさんはあまり気を遣っているようには見えません。
それをカズさんは面白くないらしく、表情が強張っておられました。
「……コーイチ。パーティのリーダーはカズ兄だから、カズ兄には敬語を使って。ハルお姉ちゃんも私たちよりも年上だし」
「いえいえ、私は年上ですが、コーイチさんの方がお強いですし、敬語とかはいらないのですよ!」
私は敬語を使われるとむずがゆいものを感じるので、敬語は使わないでほしいと念押ししました。コーイチさんもワカナちゃんも納得してもらえたようで、コーイチさんからはカズさん同様、『ハル』と呼ばれることになりました。
「コーイチだったか、俺と勝負してくれ。どうも、さっきから戦ってみたくてしょうがないんだ」
「おう、オレもワカナの兄貴とは戦ってみたかったんだ!いっちょ、やるか!」
カズさんからの提案で二人は決闘することとなり、町の郊外で行なうことになりました。
10メートルほど離れて向かい合うお二人はそれぞれ大剣と籠手を装備して、構えられました。
カズさんは
はたして、どちらが勝つのか、見ていてワクワクするのです!
「それじゃあ、始め!」
審判のワカナちゃんの声が響きますと、一瞬にしてコーイチさんがカズさんの間合いへと飛び込まれました。
これには、カズさんも驚いておられましたが、コーイチさんからの鉄拳での攻撃をギリギリのところで大剣を寝かせて受け止められました!
ですが、一撃の威力ではコーイチさんの方が上らしく、完全に力負けしておられました。カズさんは
そして、結果的にはコーイチさんが一方的な勝利を収められ、決闘は終了しました。
「なんだ、ワカナの話だと兄貴が一番この中じゃ強いんだろ?これで一番強いってのかよ……」
信じられない、と言わんばかりのコーイチさんの態度にワカナちゃんが眉をピクピクと痙攣させておられました。
放っておくと、ワカナちゃんがコーイチさんに掴みかかりそうだったので、話題をそらし、その日はそのまま解散という形になったのでした。
「……二人ともごめん。私、先に落ちるね」
ワカナちゃんもそう言って、ログアウトなさり、残るはカズさんと私だけ。そんな時。
「ハル、俺と決闘してもらえないか?」
カズさんからのまさかの申し出に戸惑う私なのでした。
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