第27話 二人でのクエスト
「ハル!そっちに行ったぞ!」
大剣を振り下ろした体勢で叫ぶカズさん。そんなカズさんからの言葉を受けて、私は一直線に突撃してくるネイビー色のウサギ、ネイビーラビットへとサーベルを構えます。
名前は適当な感じがありますが、敏捷の能力値が高く、レアモンスターとして登録されているモンスターなんです!
「やあっ!」
剣を横一文字にフルスイングしますが、ネイビーラビットが上に跳んだことで回避されてしまいました。しかも、ネイビーラビットは私の顔面に着地し、草むらへとまっしぐらに逃げていかれました。
「おい、ハル。大丈夫か?」
「は、はい……カズさん、また私のせいで……」
私がそこまで言いかけると、口にカズさんの人差し指が押し当てられました。
「それ以上、自分を責めるな。あれは動きが素早い。むしろ、逃げられて当然だ。とりあえず、今日はもう遅いし、クエストは失敗ということで報告しとくか」
私は何だか申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、カズさんの言うように今日はもう遅いです。なので、町へクエスト失敗の報告をしに戻った後は、すぐにログアウトしました。
「ふぅ……」
私はベッドで横になりながらVRゴーグルを外して、横に置きました。目の前に見えるのは、天井だけ。
私は現在、大学の近くにアパートを借りて一人暮らしをしているので、現在この部屋には誰もいません。
前まではアヤさんやマサミさん、ユーカさんの3人を呼んで、一緒にSdnGをして遊んだりしていたのですが……
今はとなっては誰も来ないので、部屋は静寂そのものです。
ですが、カズさんやワカナちゃんを呼んで一緒に遊ぶことくらいはできるでしょうか?
オフ会の時には色々とお世話になったので、そのお礼ということにすれば……!
そうです!その手がありました!
今度ログインしたときに、お二人に話してみてもいいかもしれません!
「よし!それでは、明日ログインしたときに早速聞いてみることにしましょう!」
私は部屋に誰かを招けるのかと思うと、嬉しくて仕方がありませんでした。
しかし、今日は大学のレポートを仕上げなければ、提出期限に間に合わなくなってしまいます。
なので、その日はゴーグルを箱になおしたあと、慌ててレポートに取り組み……そのまま寝落ちしてしまったのでした。
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