第5話 変態!
……どうしましょう。
コボルトがまさかこんなにいるとは思いませんでした。
しかも、コボルトロードまで居るなんて!
私が使えるのは氷魔法。ですが、コボルトに氷の魔法の耐性があります。
ノーダメージとは言いませんが、効果が薄いのです。
昔、コボルトの群れを相手にしたときはアヤさんやマサミさん、ユーカさんが居ましたので私自身は魔法を使わなくても倒せました。
でも、あの時とは状況がまるで違います。
私一人だけです。
ここで死んでしまうと前にセーブをした場所に戻ってしまいます。
これでは先ほど仕留めたコボルト二匹のドロップアイテムも無かったことになってしまいます。
それでは一体何のために草原を走り回ったのか分かりません。
私は決めました。とにかく生き延びようと。
これ以上の成果は望みません。
とにかく生き延びるんです!
私は向きを180度変えて一目散に走りだしました。
「ガルラァ!」
私が背を向けて逃げ出すと、コボルトたちは獲物を追いかけるように私の後を追跡してきました。
私は草むらや木の上、岩の陰や水の中。あちこちに隠れましたが、次々に見つかってしまいます。
「アイスカッター!」
試しに氷の魔法を撃ち込んでみましたが、少しコボルトの皮膚を傷つけただけでした。
これではひるむ様子もありません。
ストーカーです!やり過ごそうと何処へ隠れても、必ず見つかってしまうのです!
変態です!よだれを垂らしながら女の子を追いかけるなんて!
……というか、私リアルでもストーカーなんてされたことないのですよ!?
私は持ち前の
もうコボルト何て大っ嫌いです!
こんな変態さんとは二度と関わりたくないです!
『俺を君のペットにしてくれ』
……何てイケボで言われてもお断りです!
あ~!誰か助けてくださ~い!
私は泣きたい気分でいっぱいです!
「あ、街です!」
そんなとき、街が見えました。
距離はあと数百メートルといった所です!
あと数百メートル!頑張って走り抜けてみせます!
「……きゃっ!」
しかし、私には運がありませんでした。
足元のツルに足を引っかけて転んでしまったのです!
「もうダメです……!」
三体のコボルトが私に襲い掛かってきたとした瞬間、私は観念し目を閉じました。
でも、私の運は完全に尽きたわけではなかったようです。
「オラア!」
そんな力強い声が聞こえ、目を開けてみると三体のコボルトは光り輝く粒子となって消えていくところでした。
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