第112話 武器を買いに②

「次はハル様の装備になります」


 少年店主さんがそう言ってカウンターに並べたのは、黄金の刀身に青色の柄をした片手剣、白の帯に紫を基調とした衣、宝石が中央に埋められた純白の盾の3つ。


 どれも見るからに高そうでしたが、正直お値段がどうなるのか気になって仕方がないです……!


「まずは、この回治の剣ですね。これは先代の店主から相応しい人に与えるように言われた剣になります」


 少年店主さんは私にその剣の柄を向けて来られました。ですが、私はどうすればよいのやら戸惑っていると、補足説明をしてくださいました。


「この剣を引き抜いて、刀身から黄金色の光が放出されれば、この剣が持ち主としてハル様を認めたということになります」


 私は緊張からゴクリとつばを飲み込んでしまったのですが、覚悟を決めて剣を手にしました。すると、黄金の刀身から黄金色の光が溢れ出して、薄暗かった店内を真昼間のように明るくしてしまったのです……!


「この剣はハル様を持ち主として選んだようですね。今までにも何十人という方が剣を手にしましたが、光を放ったのはハル様が初めてです……!」


 少年店主さんもどうやらこの光景は初めてご覧になったらしく、大変驚かれておりました。


「そうです、店主さん。この剣には何か特殊な効果などが付いていたりするのですか?」


「この回治の剣は敵に与えた物理ダメージの5%分自分の体力ゲージが回復するという効果があります」


 ……それはスゴイのです!ですが、敵さんにダメージを与えて自分が回復するというのは、何やらモヤモヤしてしまいます。


「次は、この剣士の紫闘衣しとういですが、耐久をあげるだけでなく、敏捷も高めてくれる装備になります。ハル様の装備からして、軽装備で戦うタイプだとお見受けしたのでご用意しました」


 どうやら少年店主さんは私の装備から戦闘スタイルを推測して、この装備を持ってきてくれたようなのです……!本当にスゴイです!


「残るはこのジェムストーンバックラーですね。今ハル様が装備しているホワイトバックラーは耐久をあげて、土属性魔法を軽減する効果があるはずです。ですが、このジェムストーンバックラーには魔法の軽減効果はありません。ただ、魔力を高める効果があるので、魔法を頻繁に使われそうなハル様にオススメの品だと思います」


 少年店主さんがアツく解説してくださいましたが、どれも私のことを観察して、私に合った装備を選んできてくださっているのは間違いありません。


 私はカウンターに乗っている3つの装備を購入することに決めました。これほどまで、私のことを考えて選んでくださった装備、買わない手はありません!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る