第123話 ハッピーニューイヤーです!

「ハル、アタシも出来る範囲で協力するよ。アヤとの仲直り」


「マサミさん……!ありがとうございます!」


 私はマサミさんに抱き着きにいきましたが、マサミさんも嫌がらずに受け止めてくださいました。


「なにはともあれ、面倒ごとは年内に片付いたな」


 ユーカさんはそうおっしゃりながら元の席に座られました。私もマサミさんもずっと立っているままというわけにもいかず、席につきました。


 そうこうしているうちに、時刻は23時59分になりました。


 そこからの1秒1秒は見逃すまいと瞬きすらも惜しむようなレベルでした。そして……


「「「「「「「「5、4、3、2、1、ハッピーニューイヤー!!!!!!!!」」」」」」」」


 ついに年が明け、1月1日になりました!新年です!めでたいです!


「新年あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」


 そうです、これが私は言いたかったのです!SdnG内で言うと何やら新鮮な気分がしますが、それでもこの新鮮さは今だけの宝物なのです!


 そこからは「あけおめ」と「ことよろ」の嵐でした。新年恒例ですがSdnGの仲間に真っ先にすることは、私にとってとても嬉しさを感じる瞬間なのです。


「よし、このまま新年初クエストに行くかって言いたいところだが、あんまり遅くなってもいけないからな。今日はこの辺りでお開きにしよう!」


 カズさんのおっしゃる通りです。このまま夜中の1時や2時まではしゃいでしまうと、リアルでの元旦に良くない影響が出てしまうのですよ。


 私たちはその通りだと思い、一通りの挨拶も済ませて、テツさんの工房にて全員でログアウトしたのでした。


 そうして賑やかな年越しを終えて、ゴーグルを外すと目の前は真っ暗な部屋でした。


 そう、ここは実家の私の部屋です。まだ部屋には中学生や高校生の時に使っていたものが残されています。


 ……さすがに足元は散らかっていないので、色々と踏んづけてしまうようなことはありませんが。


 私は部屋の電気を点けようかと思いましたが、ゴーグルを元の箱に戻し、そのままベッドで寝ることに決めたのでした。


 結局ここで部屋の明かりをつけてしまうと、夜更かしルート一直線ですからね。これでは何のためにカズさんが早めに切り上げてくださったのか……ということになってしまいます。


 ですが、両親の様子は気になりますので、寝室を覗いてみますと、お父さんもお母さんもそれぞれの部屋で寝息を立てて眠っておられました。


 起きていたのでしたら、新年のあいさつを済ませようと思ったのですが、寝ているのなら仕方ありません。


 そう思いながら私はベッドに横になり、静かに眠りについたのでした。

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