第107話 駅前で集合です!

 私が和幸さんの家に行ったり、茜ちゃんのお部屋でお泊りしてから、一週間。今日は12月25日。クリスマスです!


 そしてなにより、今日は第8回イベントの報酬であるケーキバイキングに行く日。場所はホテル『パラディ―ス』で、10時からの予約になっています。


 ですので、私たちはホテル『パラディ―ス』の最寄り駅の改札前に9時半に集合することを決めています。


 そんな待ち合わせ場所に私は9時に着いてしまったのですが、案の定誰も来ておりませんでした。


「ハル?もう来ていたのか!ずいぶんと早いな」


「そういうカズさんもかなり早いです」


 私が到着した数分後、カズさんがワカナちゃんと一緒に参られました。


 カズさんとは和幸さんの家での一件の後、SdnG内で話をしたのですが、カズさんが何でもないとおっしゃるので、あの時の表情が何だったのかは未だに聞けずにいます……


 ですが、リアルでもお変わりないようで私は安心したのです。もちろん、ワカナちゃんも!


「カズさん、今日は塾や模試などは……」


「ああ、どっちもない。ちゃんと予定は空いているぞ」


「そうでしたか。ワカナちゃんは……大丈夫そうですね」


「……すべてはケーキバイキングのため」


 ワカナちゃんは胸の前で拳をギュッと握っておられ、気合十分のようです。


「あ、ハルさんたちはもう来てたんですね……!」


「茜ちゃん!朝、出発前にうかがったのですが……」


「アハハ……ハルさんのピンポンでちょうど目が覚めたんです」


 茜ちゃんはそう言って苦笑いしておられました。ですが、寝坊は誰にだってあります。寝坊と言っても、待ち合わせに遅刻しておられないので、時間通りといえば時間通りなのですが。


 そうして4人でお話をすること20分ほど。あと数分で9時半というところで、ユーカさんとテツさんが集合場所に到着なされたのです。


「すまない、危うく集合時間に遅れるところだった」


「ずいぶんと息を切らしているみたいだが……何かあったのか?」


「ああ、テツのヤツがまったく起きたくてな。ベッドから引きずり出したんだが、準備が捗らなかったんだ……」


 朝からユーカさんは随分とお疲れのようです。これにはカズさんもワカナちゃんも苦笑しておられました。


 ともあれ、全員無事に駅前で集合することができたのは何よりです。これで予約時間には余裕で間に合いそうで、ホッとしました。


 そうして私たちは6人揃って改札前からホテル『パラディ―ス』へと徒歩で向かいました。


 ……まあ、『徒歩で』と申しましても、駅前にある巨大なビルが目的地なのですが。

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