第84話 アヤさんの元へ!
「ワカナちゃん!アヤさんの杖、何かヤバい効果があったりするのですか……?」
「……えっと、魔法を同時に2つ発射できる特殊効果がある。ハルお姉ちゃんで例えるなら氷魔法と風魔法を同時に発射できるということに……」
「そ、それは……!」
……いくらなんでも、ヤバすぎるのですよ!正直、思っていた以上にヤバいです……!
「ハル、アヤが魔法を発動する前に倒してしまった方がいい。じゃないと、人数的にも俺たちが不利になる。つまり……」
「速攻ですね!」
「そうだ!みんな、いくぞ!」
カズさんが先頭を切って、アヤさんへと突進していかれます。そこに私、ユーカさんが続き、ワカナちゃんは別の角度から攻撃を仕掛けようとしておられます。
テツさんとルビアちゃんはその場で待機で、後方支援に徹していただくことになりました。
「アヤ、覚悟しろ!」
カズさんが大剣を振りかぶって振り下ろそうとしたその時。横から真っ赤な刀身の大剣が割って入り、カズさんの大剣を上へと押し返してしまわれたのです……!
「アヤ様ァ、コイツはオレ様が貰っていくぜェ~!」
そう言うなり、その御方はアヤさんの返事を待たずに、カズさんへと大剣を容赦なく振り下ろしたのでした。
「カズさん!」
「ハル、俺に構わず行け!」
私がカズさんを信じて、アヤさんの元へ行こうとすると、ユーカさんが前へと進み出られました。
「ハルはやらせないぞ。私の眼が黒いうちはな」
「フッ、さすがといっておこう。アヤ様からの情報通りだ」
ユーカさんは柄から穂先まで黄金色の槍を柄で綺麗に受け止めておられました。
「ハル、コイツの相手は私がする!ハルは先に進め!」
「は、はいっ!」
ユーカさんに言われるがまま、私はおふたりと迂回し、アヤさんの元へと走りました。
「アヤさん!」
「ハル、あなたのお仲間を助けたければ、ここでアタシにやられてくれる?」
「お仲間……?」
私が辺りを見渡しますと、大剣の方に防戦一方のカズさんと槍使いの方相手にじりじりと押されているユーカさんの姿が目に入りました。
ですが、それだけではありません。遠くではワカナちゃんがマサミさんから攻撃を仕掛けられ、逃げ回っておられます。そして、後方支援に回ってくださっているテツさんとルビアちゃんは鞭を振るう女性の方に攻撃されている真っ最中なのです……!
「アンタがここで降参してくれれば、アタシたちのパーティに100ポイントが入るんだけど……」
――ハル!迷うな!サッサとアヤを倒せ!
そんな声が耳に飛び込んできました。そのお声からして、カズさんなのは分かりました。カズさんは苦戦こそしておられますが、負けたわけではありません!
「私、降参はしません!」
そう、確かに言い切ったのです。目の前におられるアヤさんに対して。
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