第121話 マサミさんの本音①
「マサミ、いつもの明るい雰囲気はどこに行った?ずっと浮かない表情をしているように私には見えるのだが」
「……ユーカにはバレてたかぁ」
「まぁ、普段と今とであまりにも印象が違いすぎるからな。私じゃなくても誰でもわかるさ」
ユーカさんは素直じゃないですが、マサミさんのことを心配しているのは表情からも伝わってきます。
「マサミさん、良かったらその不安を話して貰えませんか?内容によってはお力になれるかもしれませんし」
私は勇気を振り絞って、マサミさんへと正直な思いを伝えます。ですが、これ以上は私からずかずかと入っていける問題ではないのです。
ですので、ここからはマサミさんの選択次第……ということに。
「姉さん、ここはハルさんたちに話してみたらいいんじゃないかな?ボクも力になれることがあれば、力になるから」
マサルさんも心配だったのでしょう。その目は潤んでおられました。
「分かった。ハルもマサルもそう言ってくれるし、話してもいいかな?」
マサミさんの言葉に私たちで頷かない方はおられませんでした。それに安心したのか、マサミさんは静かにご自分の胸の内を語りはじめたのです。
「アタシ、ハルをアヤが追い出した時。本当は止めたかったんだよ。そうはいっても、止められなかった過去は変えられないんだけどね。アタシ、あの時は1人で大阪に出てきて、友達ができるか不安で不安で。そんな不安な気持ちで始めた大学生活で初めてできた友達が、アヤとユーカ、ハルの3人だった」
マサミさんがそのようなお気持ちで大学生活を始められていたとは知らなかったですが、『大学生活で初めてできた友達』というのはものすごくうれしい気持ちになります。
「アタシ、そんな中でアヤから見放されるのが怖かったんだ。でも、そうしてアタシたちから離れてもハルは普通に大学にも来ていたし、楽しそうにSdnGをプレイしてたしね」
そうなのです。私もアヤさんから追放された時はどうなることかと思いましたが、カズさんやワカナちゃんに出会ったのです。おふたりに出会えたからこそ、今があるわけですし。
「そして、第7回のイベントの時、ユーカとテツがアヤのクランを抜けた。アタシはユーカまで抜けて、このままでいいのか、すっごく迷った。でも、第8回イベントの時のハルたちのパーティを見て、ホッとした。でも、それ以上にモヤモヤが大きくなったんだよね……」
そんなマサミさんの言葉を聞いて、私はユーカさんと思わず目を合わせました。あの時の態度からそのようなことをマサミさんが感じているなど、思ってもみませんでしたから。
「ハルもユーカもアヤから離れて、楽しそうにやってる。だったら、アタシもアヤから離れてもやっていけるんじゃないかって。そう思ったんだよね」
マサミさんはユーカさんが抜けたことで勇気が出たのだと話してくださいました。そして、マサミさんの今のお気持ちへと話が移っていくのでした。
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