第104話 カレーを食べて
「ハルさん、起きてください。カレー、出来ましたから」
「あ、茜ちゃん。私、寝てしまって……」
ソファで目を覚ますと、カレーのおいしそうな香りが鼻をくすぐります。これは、香りだけでお腹が空いてきてしまうのですよ……
「いただきます!」
私は茜ちゃん手作りのカレーを頬張ります。具材もちょうどいいサイズに切られていて食べやすいのは、茜ちゃんの優しさを感じるのですよ……!
「ハルさん、本当においしそうに食べますね」
「はい!本当においしいですから!」
そんなおいしいカレーを食べ終わるのに、10分もかかりませんでした。ただただ口に入れて味わうことの繰り返しでしたが、それだけで至福の一時。
「ごちそうさまでした!」
「ハルさん、もう食べ終わったんですか……!?」
「はい!ホントにおいしかったです!正直、毎日でも茜ちゃんのおいしいご飯が食べたいです」
茜ちゃんは私が美味しいというのを、冗談だと思って軽く流しておられましたが、自分ではこれほどおいしいカレーは作れないので、羨ましいです。
「茜ちゃん、食器洗いは私がやりますね」
「いえ、それも私がやります!ハルさんはお客様ですから、くつろいでいてください」
「いえいえ、そのようにして休んでばかりでは、申し訳ないです!せめて食後の皿洗いだけはやらせてほしいです!」
茜ちゃんは私が食器洗いをすると言っても聞いてくれなかったのですが、私が折れそうにないのを察してくださったのか、途中で譲ってくださいました。
そんな強引に押し切る形となった食器洗いも終わり、その後はソファで2人一緒にお話をしました。
SdnGの話はもちろんのこと、私の大学での話や、茜ちゃんの通う高校の話など、身の回りのなんでもない日常のこぼれ話を致しました。ですが、茜ちゃんと話しているととても楽しく、ついつい時間を忘れてしまうのです。
そうして、時刻は夜の10時を過ぎました。
「ハッ、もうこんな時間!茜ちゃん、こんな遅くまで居座ってしまって申し訳ないです……!」
「全然!むしろ、私が誘ったので……!それよりハルさん、時間は大丈夫ですか?」
「今日は帰って寝るだけです。その前にお風呂に入らねばなりませんが」
私がそう返しますと、茜ちゃんは指をあごに当てて何か考えごとをしておられるようでした。
「あの、茜ちゃん?私、何か変なことでも言いましたか?」
「へっ?あ、いえ、そうじゃないんです。今から部屋に戻ってお風呂を沸かしてとなると、ハルさんが寝るのが遅くなってしまうなと思ったんです」
「確かにそうですね……ですが、明日は特に予定もないので、大丈夫なのですよ?」
「……そうだ!せっかくなので、お泊りしていきませんか?」
茜ちゃんからの思わぬ提案にハッとしてしまう私なのでした。
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