第23話 駅前にて
今日は8月11日、オフ会の日なのです!ただ、ここで一つ問題が発生しているのです……!
「一体、服はどれを着ていけば良いのでしょう……?」
そう、オフ会に着ていく服が中々決まらないのです!
私はクローゼットから服を出して鏡の前で合わせてみてはベッドの上に置き、また別の服をクローゼットから出してくる……そんなことを昼食を摂ってから、かれこれ30分ほど続けているのです。
今までも和幸さんと何度かデートとかには行ったことはあります。でも、和幸さん以外の男性と会うのは何だか緊張してしまって……!
私が時計を見ると、すでに2時になろうかという時間でした。
集合場所には早く着いておきたいので、2時半には家を出ないといけないのですが中々服が決まりません……!どうしましょう!
私は迷いましたが、何とか着る服を決めてオフ会へ行く準備を整えました。
「それじゃあ、行ってきます!」
私は誰も居ない家に声が吸い込まれていくような感覚でしたが、とにかく家を出ました。
結局、去年に購入した白のサマードレスを着ていくことにしました。髪もSdnGのアバターと同じようにポニーテールにしてます。靴はサンダルを履いてます。何せ、夏で暑いですから。
私は電車を乗り継いで、集合場所である駅の改札口に到着しました。
「えっと、3時18分。まだ、約束の時間まで12分あります」
私は左腕に付けた時計を眺めた後、顔を上げて駅前の風景を見渡して、お腹で抱えている紙袋に視線を落としました。
一昨日にカズさんからSdnGで使う機材を持ってくるように言われたのです。これなら待ち合わせの目印にもなるし、レンタルスペースでSdnGをプレイすることが出来るから……と。
「ねぇ、嬢ちゃん一人?」
「ふぇっ!」
私は突然、話しかけられたことに驚いてしまい、危うく機材を入れた紙袋を落とすところでした。危なかったです……!
私はハッと顔を上げて声をかけてきた人を見ると、金髪にピアスを空けた同じ年頃の男性がいらっしゃいました。何となく、チャラそうな印象を受ける人です。
何か私に用のある方なのでしょうか……?
「なあ、嬢ちゃん一人って聞いてるんだけど。質問に答えてよ」
何となく、責め立てるような口調でそう言われてしまい少し怖いです。
私は怖くて口をつぐんでしまいました。そのことに男性は怒ったようで私が立っている柱にドン!と手を勢いよくぶつけてこられました。
「なんで何も答えないんだよ。怒らないから答えてよ」
そういって男の人は私のアゴを反対の手で掴み私の顔を無理やり上げさせました。
『もう怒ってるじゃないですか……!』
さっきの男性の言葉に対して、そんなことを心の中で思いながら私は目をギュッとつぶりました。
「おい、彼女嫌がってるだろ。放せよ」
そんな時でした。低い声が別の方向から聞こえてきたのは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます