第191話 2人からのお返し

 二階に戻って10分ほどが経ち、ワカナちゃんは寝間着から私服に着替えて一階のリビングへと戻って来られました。


「……ハルお姉ちゃん、おはよう&いらっしゃい」


「おはようございます、ワカナちゃん!お邪魔しているのです!」


 私はワカナちゃんと挨拶をして、そこからはカズさんも交えて昨日の水族館の話や、SdnGのアップデートで飛竜に乗れるようになることなど、色々と話をしました。


「そういえば、和幸さんはどちらに……?」


「ああ、京都に用事があるって朝早くに出発した。だから、これ」


「あ、ホワイトデーの……!」


「直接渡せなくてごめんって謝ってたぞ」


「そうですか。それでは、後から受け取った事はメッセージで伝えておきます!」


「あと、これは俺からだ」


「わぁ、カズさんからも!ありがとうございます!」


 和幸さんからのお返しは部屋に帰ってから開けるとして、カズさんからのお返しは許可を貰ったので、その場で開けさせてもらったのです。 そんなお返しの中身は予想外の代物でした。


 ……なんと、ホワイトチョコレートを使ったカップケーキだったのです!


「……これ、カズ兄が自分で作った」


「カズさんがご自分でおつくりになったのですか……!?」


「といっても、俺一人じゃ無理だからワカナにも手伝ってもらったけどな。なんとなく、チョコにはチョコで返したいと思っただけだ」


 そう言って照れくさそうになさるカズさんですが、まさか手作りだとは思いませんでした。ですが、それだけの手間暇をかけてくださったのかと思うと、嬉しくて仕方ありませんでした……!


「……カズ兄、喜んでもらえて良かったね」


「ああ。ワカナも手伝ってくれてありがとな」


「……うん」


 カズさんに感謝の言葉をかけられて、ワカナちゃんが照れておられるのは傍から見ていて言葉に表せない眼福さがあるのでした。


 そのようにカズさんからのホワイトデーのお返しを受け取り、他愛もない会話に花を咲かせました。すると、私のスマホからピロン!という通知音が。


 スマホを手に取れば、ユーカさんからのメッセージが着信したようです。


「……ハルお姉ちゃん、どうかしたの?」


「あ、ユーカさんから今月末のことで……」


 今月末、ユーカさんの実家に遊びに行くという話がありました。そのお話についての連絡がメッセージで届いたのです。


 その連絡というのは、新幹線の時間なのですが、新大阪を7時半に出発する新幹線を予約してくださったとのこと。となると、私の最寄り駅からですと6時前には出発しなければならないことに……


 はたして、そのような早い時間に起きられるのかどうか。不安は残りますが、頑張って起きるしかありません!ファイトなのです!

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