第79話 作戦会議

「それでは、ここで作戦会議を始めます……!」


 私は周囲におられる4名に始めてもいいか、リアクションを求めます。


 この場にいるのは、カズさんとルビアちゃん、ユーカさんとテツさんの4名です。ワカナちゃんはといいますと、おひとりで洞窟の外を見張っておられます。


 弓であれば、洞窟の中からでも狙撃ができるから、カズさんとユーカさんよりは見張りに向いていると力説されてしまったのです。


 そんなわけで、ワカナちゃんに見張りを任せているので、この場にはおられません。


「それじゃあ、さっそく本題に入るぞ。俺たちは今、23組のパーティを倒した。おそらく、今回のイベントに参加しているのは300以上のパーティとクランだ。相当な数のプレイヤーになるだろうが、これだけ倒せば上位には入るのは間違いないだろう」


 これがカズさんの分析なのですが、テツさんもユーカさんも同意見だといわんばかりに頷いておられました。


「まぁ、このまま洞窟に引きこもっておくのも手なんじゃないか?といっても、3位に以内に入ろうと思うとまだまだポイントが足りないだろうね」


 途中まではこのまま洞窟にいることを提案したテツさん。ですが、ユーカさんにジ~ッと睨まれたことで、意見をコロリと変えてしまわれました……


「あの……3位に入るにはあとどのくらいのパーティを倒せばいいんですか?」


 ルビアちゃんが恐る恐る尋ねてくださいました。それこそ、私の聞きたかった情報です!


「そうだね……今のポイントの倍あれば可能性は高いだろうけど、今の段階で生き残っているパーティはどこも強いだろう」


「それこそ、アヤのクランとかが数を活かして狩りまくっているだろうな」


 テツさんの言葉に付け足すようなユーカさんの一言。


 確かに、ユーカさんのおっしゃる通り、アヤさんのクランが動いているかもしれないのです。


 そうなると、何十人ものプレイヤーを同時に相手にしなければならなくなります……!そうなれば、こちらが全滅してしまいかねません!


 ――そんな時、洞窟の外が騒がしくなりはじめました。


「みんなはここで待っていてくれ。オレが見てくるよ」


 そう言ってテツさんが洞窟の入口へと向かわれました。


 もしかすると、どこかのパーティやクランが私たちの洞窟を発見して、攻撃してきたのかもしれません!


 少しして、テツさんが息を短く切りながら走って戻られました。


「大変だ、アヤのクランが来ている!」


 噂をすれば何とやらというヤツです……


 まさか、このタイミングでアヤさんのクランがやってくるなんて……!ど、どうしましょう!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る