第49話 イベントの結果

 第5回イベント。私たちは予選落ちしました。


 どうやら逃げようとした時、銀色の防具に身を包んだプレイヤーに倒されたみたいです。


 『みたいです』というのも、私たちの視界が真っ白になった時には、すでにHPゲージがゼロになっていました。


「……私たち、負けちゃったん……ですよね?」


 ルビアさんが真っ先に口を開かれました。私はそれに静かに頷くのみでした。


「……あのプレイヤー、めちゃめちゃ強かった。正直、何が起こったのかすらも分からなかった」


 ワカナちゃんは悔しさをにじませたような声で話しておられました。ですが、負けたのが悔しかったというのが伝わってきました。


「なんだ、お前らもアイツにやられたのか」


 声の主はコーイチさんでした。


「コーイチさんも負けてしまわれたのですか?」


「ああ、一瞬だった」


 コーイチさんはムダな戦いを避けつつ、とにかく強そうなプレイヤーを探していたのだそうです。


 そして、3階まで上がったタイミングで、あのプレイヤーを見つけたんだそうです。ですが、戦いという戦いにもならずに、倒されてしまったんだそう。


「結局、1ポイントもゲットできなかった」


 コーイチさんも悔しそうでしたが、何やらスッキリしたような表情をしておられました。


「ワカナ。オレ、このゲームやめるわ」


 コーイチさんからの衝撃発言にワカナちゃんはもちろん、私もルビアさんも固まってしまいました。


「……それはどうして?」


「何となくだよ、何となく。何か悪いかよ」


「……そうやって、また逃げるの?学校の時みたいに」


 ワカナちゃんからの言葉にコーイチさんは舌打ちだけを返して、ログアウトしてしまわれました。


 こんな状況ではコーイチさんが学校で何があったのかなど、気になってはいるのですが、とても切り出せるような空気ではありません。


 その日は、ワカナちゃんが口を開くことはほとんどなく、空気も悪くなってしまったので、全員イベントの予選・本選の結末を見届けることなく、ログアウトしたのでした。


 ですが、私はこっそり夜中にログインして、順位の確認を行ないました。


 私たちのパーティは1000組のパーティの中でも、684番目という成績でした。


 正直、コーイチさんと連携を取って行動していたら、銀色の装備で身を固めたプレイヤーと出くわさなければ……などなど、色々と思うところはありましたが、結果は結果です。


 今回のイベントはカズさんもおられませんでしたし、結果も残念ではありましたが、またみんなで楽しくSdnGをやれればいいなと思う私なのでした。

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