第52話 名前呼びです!

 私と茜さんはワカナちゃんのクラスがやっているメイド喫茶でカフェラテを飲み、外へと出ました。


 それにしても、メイド喫茶ということもあってか男性の割合が非常に高かったように感じます。


「ハルさん、次はどこに行きますか?」


「そうですね……」


 私はどんな屋台が出ているのかを確認しながら、茜さんと校内を歩き回りました。結局はお化け屋敷に入っただけで、あとは見て終わっただけでした。


 そんなこんなでお昼の集合時間になったので、集合場所である校門へと戻りました。そこにはカズさんが制服姿で待っておられました。


「ハル、遅かったな。そっちが……ルビアか?」


「えっと、初めまして。カズさん。長谷川茜です」


 茜さんはカズさんへとぺこりとお辞儀をなされました。それを見たカズさんも慌てたように遅れて頭を下げられました。


 そんな感じで、挨拶と雑談をしていると、制服姿のワカナちゃんが走って来られました。さすがにメイド服ではないのには、安心しました。


 あんな可愛いお姿で走って来られたら、今度こそ気絶してしまいそうですし。


 その後、茜さんのこともワカナちゃんにお話ししたのですが、リアルで初めて会う人にメイド服姿が印象付けられてしまったのを随分と恥ずかしがっておられました。


「そういえば、ルビア……じゃなくて長谷川さんは今何年だ?ハルの隣に住んでいる高校生だというのは聞いていたんだが……」


「高校二年です。カズさんは大学受験で忙しいとのことだったので三年……ですよね?」


「ああ、そうだ。それでもって、ワカナが一年だ」


「それは教室に入る時に見ました。1-3ですよね。あと、カズさん。私のことは茜で良いです。長谷川さんというのは、むずがゆい感じがするので……」


「分かった。それじゃあ、茜って呼ばせてもらう」


 茜さんとカズさんは随分と仲良さげに話しておられて、私も少し安心しました。


 そんな私はお二人が話をしている間、ショックを受けて地面にしゃがんでしまっているワカナちゃんを慰めました。


「ワカナ、その体勢だとパンツ見えるぞ」


 ですが、カズさんの一言でワカナちゃんはバッと勢いよく立ち上がったのです。これには、隣にいた私もビックリしました。


「……その、私も下の名前で茜さんって呼んでも良い?」


「もちろん!私はワカナちゃんと呼んでも良いですか?」


 茜さんの言葉にコクリと頷くワカナちゃん。これで、リアルで初対面である三人も打ち解けられたようで何よりでした。


「そうだ、ハルさん。ハルさんも私のことは茜ちゃんで呼んでください。何となく、さん付けだと呼びづらそうにしているように感じたので」


 何やら、私が茜さんを茜ちゃんと呼びたいと思っていた心を見透かされたようでビックリでしたが、断る理由もなかったので茜ちゃんと呼ぶことになりました。


 こうして、SdnGのパーティメンバー4人がリアルでも顔見知りになったのでした。

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