第53話 ワカナちゃんの誕生日

「「「ワカナちゃん、誕生日おめでとう!」」」


 私たちは文化祭を終わった後、ファミレスに集まり、ささやかな誕生日パーティーを開きました。


 ワカナちゃんの誕生日をようやくお祝いすることができて嬉しいです!


 パーティーそのものは夕食も兼ねているため、皆さんガッツリと食事を摂られました。もちろん、私も遠慮なくいただきました。


 そうして食事も一段落したところで、定番のプレゼントを渡す時間になりました。


「まず、俺からか」


 そう言ってカズさんが渡したのはお菓子でした。


「ワカナ、裏を見てみろ」


「……裏?」


 ワカナちゃんがそういってお菓子の裏を見ると、QRコードがありました。


「それはSdnGの限定アイテムが手に入るヤツだ。下手なものを渡すよりも、この方が嬉しいだろ」


「……うん、兄さんは服とかのセンスも悪いから、この方が嬉しい。ありがとう」


 ワカナちゃんはサラっとカズさんのセンスやらをディスりながら、けれど嬉しそうにプレゼントを受け取っておられました。


「次は私ですね」


 茜ちゃんからのプレゼントはボールペンでした。しかも、少し可愛らしい感じのモノで、ワカナちゃんによく似合うライムイエローを基調としています。


「……これ、雷からイメージしたの?」


「はい。ワカナちゃんは雷魔法を使っているのが、印象的なので……!」


 なるほど、SdnGの雷魔法からカラーをイメージしておられるとは……!やはり茜ちゃんはスゴイのです!


「ラストはハルだな」


 カズさんがニヤニヤと私にも早くプレゼントを渡すように促してこられます。そんなわけで、私もプレゼントを渡すことにしました。


「……クリアファイル!しかも……!」


「はい、前にワカナちゃんがお好きだと言っておられたアニメのキャラクターのクリアファイルです!ちょうとコンビニでコラボしているので、ワカナちゃんなら喜ぶかなと思いまして」


 カズさんからワカナちゃんの誕生日を聞いた翌日、大学からの帰り道にあるコンビニで見つけたものなのでした。


 そんなクリアファイルにワカナちゃんは目をキラキラと輝かせながら、穴のあくほど見ておられたので、よっぽど嬉しかったのでしょう。


 とにもかくにも、喜んでもらえたようで何よりなのでした!


 そうして、プレゼントを渡す時間も終わり、全員でデザートを食べた後、駅の改札の前で別れました。


 カズさんとワカナちゃんは最寄り駅ですので、改札の外。私と茜ちゃんは電車で三駅ほど移動しなければならないので、改札の中。


 私は茜ちゃん共々、電車に乗ってからも窓から手を振って、お別れをしたのでした。

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