第54話 またしても不参加

 ワカナちゃんのお誕生日を祝ってから一週間ほどが経ちました。あれからは特にこれといったようなこともなく、日々が過ぎていきました。


 そんな時、SdnGの第7回イベントの通知が届きました。


『第7回イベント通知:11月1日 (日) に全パーティ参加型のパーティ対抗戦が開始されます!』


 私はSdnGにログインして、皆さんにその事を伝えると、カズさんとワカナちゃんは参加できないとのことでした。


 カズさんは、その日は模試があるとのことで、ワカナちゃんは中間テストでの点数が下がったことでお母様にゲームをする時間を制限されてしまうことになったそうです。


 あわせて、ワカナちゃんは土日に合わせて1時間ほどしかSdnGにログインできないと言っておられました。


 ルビアちゃんの方は問題ないとのことでしたが、参加できるのが私含めて二人だけとあっては、参加を見送るしかありませんでした。


 やはり、学校生活が始まってしまうとSdnGをする時間も減ってしまうのは、少し悲しいです。


 ですが、私からしてみれば、今のうちにカズさんやワカナちゃんよりも強くなってぎゃふんと言わせるチャンスなのです!


 なので、私はルビアちゃんを伴ってクエストをたくさん受けたりしていました。


「そういえば、ルビアちゃんは学校のテストとかは大丈夫なのですか?いつもログインしておられるようですが」


「えっと、その辺りは大丈夫です。テストは前日に詰め込めば何とかなるので……」


「もしかして、それで平均点とか取れちゃう感じなのですか?」


「実は、この前の中間テストは学年で五位でした」


「それは上から……?」


「はい」


 ルビアちゃん、いくら何でも賢すぎやしませんか……?


 普通、一夜漬けで欠点ギリギリ回避っていう感じだと思うのですが、それで学年五位はいくらなんでも凄すぎます……!


「でも、普段の授業とかは起きてますよ!聞いてはいないですけどね」


 ルビアちゃんはそう言って苦笑いしておられましたが、授業も聞いていないのに学年五位なんて取ろうと思って取れるようなものでもないでしょうに。


 そんな地頭が良さそうなルビアちゃんとクエストを受けた帰り道。


「あれ?ハルじゃないか」


 そう呼ばれて振り返ると、そこには長槍を携えたユーカさんがおられました。黒髪のサイドテールが相変わらずお似合いです。


 ……なのですが、そんなユーカさんの隣には見知らぬ男性プレイヤーの方がおられました。


 緑色の髪を首筋辺りで一つにまとめているのが特徴的な方なのですが、一体、どちら様なのでしょうか……?

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