第41話 とりあえず、逃げましょう!
遠くからコボルトの叫び声が聞こえて参りました。
「ハルさん……!これ、ヤバくないですか……?」
「そう……ですね……!ここは見通しが悪いので、草原地帯まで移動しましょう!」
私は勢いよく走りだそうとしました。
ですが、ルビアさんは追い付けません!なにぶん、私とルビアさんとでは敏捷のステータス値が違いすぎるのです!一体どうすればいいのでしょうか……!
そんな時、私に一つの案が思い浮かびました。
「ルビアさん、失礼します!!」
「えっ、ハルさん!?」
私はそう言って、驚いておられるルビアさんをお姫様抱っこして走りました。
そうです、これなら私の速度で移動できるので、コボルトから攻撃される前に草原地帯へと移動できます!
私はポニーテールを風に揺らしながら全力で走りました。途中、何体かのコボルトとすれ違いましたが、氷魔法で攻撃してその場を切り抜けました。
しかし、驚いたことに私の氷魔法でコボルトが倒せたのです!
以前は氷魔法に耐性のあるコボルトには効き目があまりなかったのに、です!
その理由としては間違いなく氷魔法のレベルや魔力が以前よりも上がっていることが影響しているのでしょう。
ですが、今はそこに気を取られている場合じゃありません!
私は二分ほど走って、草原地帯へと飛び出しました。
後ろを振り返ると、コボルトたちの姿はありません。
なので、今のうちにとルビアさんを下ろしました。
「ルビアさん、今のうちにそこの岩陰に隠れていてほしいのです。見つからなければ、攻撃されることはないはずなので、隠れたらじっとしていてください!」
「えっ、はっはい!」
顔を真っ赤にしたルビアさんは、言われた通りに岩陰に隠れてくださいました。ですが、どうして顔が真っ赤だったのでしょうか?
そんなことを考える暇も無く、コボルトたちが追い付いてきました。
しかも、その中にはコボルトロードが混じっていたのです。
以前はカズさんとワカナちゃんが一緒に戦ってくださったので、勝てたようなもの。
それをコボルトの群れも含めて私一人で倒さなければなりません。
ですが、岩陰に隠れてこっちをじっと見つめているルビアさんも見て、腹をくくりました。
何としても、ここでコボルトは私が倒します!
「えいやぁっ!」
私はまず、氷魔法で大量の氷の矢を作り出し、コボルトの群れへと発射しました。
さすがに魔法の威力的にはコボルトの群れを全滅させるようなカッコいいことは出来ませんでしたが、何体かは無事に倒せました。それに、足元が凍っているので、勢いをつけては動けないはずなのです。
とりあえず、今の出力で二、三回も発射すればコボルトロード以外は倒しきれそうです!頑張りますよ!
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