第136話 その時起こったこと

「カズさん、一体何があったのですか?」


「ああ、それはだな……」


 カズさんは何があったのか。正直に話してくださいました。


 カズさんは私たちと別れた後、大型モンスターを片っ端から仕留めていくという方法で私たちの進行方向とは真逆の、山脈地帯へと足を踏み入れたとのことでした。


 ですが、崖沿いの細い山道での戦闘中、お父さんの居た場所の足場が崩れてしまい、落ちそうになったお父さんをカズさんやユーカさん、ルビアさんが助けようと支えてくださったとのこと。


 ですが、カズさんたちのいた場所も崩れ、4人揃って崖下へと転落してしまったんだそうです。


 そうして、崖下で体力ゲージを3割ほど削られた状態で目覚めたカズさんたちはルビアちゃんに治癒魔法で体力を回復してもらい、上に上がる道を探し始めたんだそう。


 とはいえ、崖下は大型モンスターが数多くいたために、ポイント稼ぎも順調だったんだそうです。


 そうして移動しているうちに見つけた洞窟。その時点でイベント終了1時間前。


 何かあるかもしれないとカズさんが足を踏み入れ、その後に皆さんが続いたとのことでした。そんな洞窟の奥。そこにはフィールドのどこかにいるボスモンスターがいたのでした。


 目の前にいる、このボスモンスターを倒せば10000ポイント!


 そう思ったカズさんたちはテンションが上がり、勢いそのままにボスモンスターへと挑戦したんだそうです。


 ですが、最初の一撃で盾役のお父さんが吹き飛ばされ、体力ゲージの9割5分を削られる事態となったのだそう。しかも、盾でのガードに成功し、受けたダメージを半減させてなお、それだけのダメージだったんだそうです。


 その初撃でカズさんもユーカさんも戦意喪失してしまい、戦いを放棄したとのことでした。私も懸命な判断だったと思います。


 そうしてカズさんたちがボスモンスターのいる部屋の入口に戻った時、銀色の鎧兜に身を包んだプレイヤーとすれ違ったんだそうです。


 ――あのモンスター、私が倒しても構わないだろうか?


 そう言われたんだそう、お父さんは無謀な真似はするなと止めたんだそうですが、カズさんは行く事を勧めたとのこと。


 何を隠そう、そのカズさんたちの前に現れたプレイヤーこそ、SdnG最強のプレイヤー『ヤス』だったのです。


 そんな4人の前に現れた最強のプレイヤーはお父さんでも一撃耐えるのがやっただった物理攻撃をガードもせずに直撃。ですのに、まったくの無傷、ノーダメージだったんだそう。


 そこからの戦いはあっという間で、剣を抜くなり斬撃のエフェクトが12回輝いたのち、ボスモンスターはあっという間に光の粒子となって消えてしまったのです。


 そんな戦いを見て、呆然としているうちにイベントも終了時刻を迎え、今に至るとのことでした。

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