第85話 降参はお断りです!

「私、降参はしません!」


「……そう。だったらもういいわ。サッサとあがくならあがきなさいよ」


「では、そうさせていただきます!」


 私は腰から剣を引き抜き、アヤさん相手に突進しました。魔法が発動される前に近寄ってしまえば、魔法剣士マジックナイトである私の方が有利だからです!


「フンッ!」


「きゃぁっ!?」


 私が剣を振りかぶったタイミングで、横から二振りの剣が割って入って来たのです。私はとっさに左手のバックラーで攻撃を受け止めました。しかし、あまりの威力に後方へと弾き飛ばされてしまったのです。


「アヤ。やっとオレの出番というわけか」


「そうね。サッサと片付けちゃってくれて構わないわ。アタシは詠唱準備に入るから」


 目の前に立ちはだかったのは無精ひげが特徴のおっさんハーフエルフでした。


「えっと、あなたは……?」


「オレはキヨ。アヤのクランに統合されたパーティの1つでリーダーをしていた。あっちで鞭を振るっている小娘も元はオレのパーティメンバーだった」


「そ、そうなのですね……!私はハルと言います!」


「ああ、それは知っているぞ。アヤの話の中で時々名前が出てくるからな」


 アヤさんの話の中で私の名前が出てきているのですね……!なんだか感激です!


「っと、何を嬢ちゃんは感動している?」


「い、いえ、なんでもありません!何でもないのですよ!」


「はぁ、なんか変な嬢ちゃんだな。思っていた以上に」


「へ、変……!?私って変なのでしょうか!?具体的にはどのあたりが……」


「だぁぁぁぁっ!もういい、嬢ちゃんと話していると話が脱線する!」


 突然、目の前のおじさん……キヨさんが頭を掻きながら、叫ばれました。何やらイライラしている様子なのですが……


「とにかく!オレは同じハーフエルフで、魔法剣士マジックナイトだっていう嬢ちゃんと戦いたくて、お前の相手をわざわざ引き受けたんだ」


「なるほど、私にもおっかけが……!」


「おい、嬢ちゃん。それはちょっと違うぞ……っと、こんな話をしてる場合じゃない。オレは嬢ちゃんに決闘を申し込む!受けてくれるな?」


「えっと、分かりました。お受けします!」


 私が受けると決闘を了承した刹那、キヨさんの持つ銀色の剣が横薙ぎに振るわれました。私は一撃目を剣で受け、二撃目は盾でガード。なんとか防ぎましたが、やはり一撃一撃にスゴイ力が込められています……!


 これは、真正面から攻撃を受ければ私では受け止めきれません。先ほどのように吹っ飛んだりはしませんでしたが、さすがにキツイです!


 ……ならば、ここからは私の長所を活かした戦法で反撃開始です!

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